2004-05-01から1ヶ月間の記事一覧

追補

lepantohさんも述べておられるが、単なる「ボーイズラブ」「少女萌え」という表層意識でこの2冊の高原本にあたると、その無意識の中にあるセックス・コンシャスで処理してきた安全地帯の自意識のヌルさ(建前=嘘)をつっこまれることにもなる。だからワタ…

自分セカイの中心で愛を叫ぶ

女性は〈少女〉理念を様々なケースで吟味することで欲望とその形態は多層多重化して拡散した主体=自由を手にいれる。一方男性は〈少年〉理念を喪失することによって客体化し自由を手にいれ、「欲望とその形態」ソレは〈少女〉なるものとして単一化すること…

戦闘美少女

さらに著者は歩を進める。斎藤環『戦闘美少女の精神分析』は、晩年三島天皇論と思想的裏付けのない相似であると看破する。 戦闘美少女の持つ、「無垢と攻撃性」は、中世の僧院において観音の化身として僧たちが崇めつつ犯す存在であった稚児と等しい役割をに…

「私でありたくない私」

ああぁ、どこぞで何度となく聞いたセリフだぁ(苦笑)id:hizzz:20040210#p3。同性愛志向ではなく「私でありたくない私」の告白、それが三島由紀夫『仮面の告白』の内容であると著者はいう。自己と絶対に異なる容姿性格行動&欲望を持つ「他者」な故に愛し憧…

文化的背景

「少年愛」とは単なる性愛の分類上の名称ではなく、固有の背景によって当事者の意識・価値観・欲望を規定した文化を意味する。 明治以後、固有の欲望と意志をもち、他者と強豪し葛藤し、融合することのない、西洋近代の自己主張型「主体」に対し、日本の意識…

欲望対象

ルサンチマンに満ちた権力欲望が自己に「濁り」を与えそれに耐えきれなくなると〈少女〉に浄化をもとめ欠落感を埋める室生犀星『或る少女の死まで』では、非人格で清浄と救済の巫女としての〈少女〉礼賛により、自らの生なき自己肥大矛盾は隠蔽される。 珍し…

〈少女〉

〈少女〉という〈個〉を支える思想が成立したのは、かっての稚児の流れをくむ〈少年〉の無垢・美観・魅力が少女にシフトし、女性人格が想定されはじめた大正半ばでであるとし、その要は「自由と高慢(誇り)」への願望(自己愛)であるとし、それを「少女型…

〈少年〉

近代日本文学における〈少年〉的自己愛の表出は、自己の客体性の自覚からはじまった。「憧憬の文学」は、後には他者欲望の体系として語られ続けてきた性愛を、自己憧憬の体系として編成し直し客体性を魅惑的要因=自己愛として提示する。客体性自己愛とは、…

憧憬の倫理

弱者であることに価値を見いだし「無垢」を最高の価値とし、その唯一の通路としての憧憬が「憧憬の倫理」として、〈少年〉〈少女〉への憧憬というカタチをとおして表現される。情動を自己の理想とする他者に向けることによって「憧憬」という感情を発生させ…

理想のカタチ

id:lepantoh:20040513#p1で紹介されていた、高原英理。『少女領域』、『無垢の力―「少年」表象文学論』。こ、これは、、、読まんでどーする?と思いつつ、やっと機会あって、読んだ、読みましたよ! 表象、近代自我、主体/客体、忖度関係(みんなって誰問題…

コントロール願望のハテ

均一化したモジュールとしてひとをカテゴライズしがちなシステム論が、感情的に嫌悪感をもたれるのは今に始まったことではない。 歯止めの不在こそが近代〈個〉成熟とかいってガマンしてたけど、リベラルだのリバタリアニズムだのコミュニタリアリズムだのの…

社会システム論

もともとワケワカメな複雑性を縮減してコミュニケーションを可能にする意味を与えるのがシステム論の意義だとはおもう。それは厳密に論理構成しようが、ドコまでいっても枠のハナシである。で、あるからそれこそがシステム論者の強みである。 多様性を謳歌し…

倫理主義

最近ではid:hizzz:20040512#p6でカキコした多様価値観の整合性をとる方法論は、実は前から知人にはいってたりしたてんだけど、どうもリアルフェイスのフル対面(ダイレクト・コミュニケーション)が正しいという価値観にあるひと程、インターネットやWeb発達…

整合性へのアプローチ

id:essaさんがid:hizzz:20040516#cでのid:Bonvoyageさんの「みんなって、あんたと、あと誰?」を引きつつ、技術と倫理の対話としてTCP/IPを引いて「プロトコル技術」実際そのものを考察なさっている。http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20040517 また「予…

第四世代の10万馬力

id:sujaku:20040520#p3で、「いつだってチェルノブイリの大惨事につながりかねないリスクを自覚しながら」空を飛ぶアトムの両義性を指摘されている。 現代それが実用開発段階に迄達している。持ち運び可能な原子炉としての高温ガス炉である。 元々「高温ガス…

コントロール願望

バブル以降は「差異を作り出しそれを埋める運動に窮々とする」戦略に「科学」もはまっていったとする池田清彦は言う。大衆民主主義と資本主義を支えている科学技術の価値基準は、再現可能性と客観性にある…科学技術に基づく、様々な社会制度や装置は個々人の…

感性科学

ワタクシ的には、これでアトム的な感性「科学」を終了させられたんだなつーか、これで残ってたもう一つの「昭和」ロマンをも諦めざるをえないつーか。。。 後は勝手に強くなった円しか残ってない、それでなんとかするっきゃないっと、バブル時代が到来する。…

日米摩擦

70年代後半の自動車・工作機械の日米摩擦は、日本側の「慮り」自主規制というカタチでなんとか回避してした。んがっ、コングロマリット化しすぎた米の殆どの基幹産業は、80年代には次々と買収や倒産で崩壊しまくり。グローバリゼーションの弊害を貿易摩擦激…

汎用プロジェクトX

60年代以降、米国産業はコングロマリット化し設備投資が活発になるが人手が足らないという状況を踏まえて、「科学」は熟練のカンにたよらない「普遍」追求をする。それは汎用機の開発競争となって現れる。 製造業の中で一番重要なもの、機械こさえる機械、そ…

ロマン

戦時中とある米軍捕虜収容所にて、英語が理解できる日本軍捕虜とみるや否や「進化論」を説く米軍将校がおり、捕虜達の間で不思議がられてたそうな。ある時、弁の立つ英語の達者な捕虜がその将校よりも詳しく進化論概要を述べ「このようなことは日本人なら中…

ららら科學の子

矢作俊彦『ららら科學の子』が、三島由紀夫賞だそーな。 「この懐かしさだけを感じることが出たなら、明日から元気に働くことが出来るというものだなぁ。」id:seijotcp:20040520#p1 さんとこで(上げ底して)言われてるけど、ワタクシとしては、こんなんで元…

認識と文化

なにがしかを判断する前に、その「なにがしか」を認識しとらんとハナシになんない。しかしその「認識」というのがこれまたクセモノなんである。 『認識と文化―色と模様の民族誌』では、エチオピア西南部のボディ族へのフィールドワークの失敗を通して認識さ…

ちびくろサンボ

事象に対して自分が無力なのは、もう殆ど、そゆ自分が弱くてバカである結果なんだけど、んなことは、経験的に日常ヤというほどに体得する機会にみちみちてるんだけど、困ったことに、あんまり弱くてヘタレだと、そゆ自己了解すらはねのけてしまう。 「邪悪な…

合議の知

id:o-tsuka:20040512#p2経由、ライン人材とスタッフ人材の見極め方で、意思決定に関する性格づけとして4つのタイプに分類されていた。そして続く記事の中で、日米管理職の比較をしてて、米国には[思考-判断]型=論理的で決断力ある管理者が突出してるが、…

とりあえずで、いいや

『すぐれた意思決定―判断と選択の心理学』に拠れば、判断予想には、楽観的なのと悲観的なのと均衡的なのと、ざっくり3つのパターンがある。 建前/理念=言ってるコトは、演繹的に最良のものを選び出す最適化の原理(規範的意思決定論)で貫かれてるけど、し…

弘法筆を選ばず

「弘法筆を選ばず」ということわざがあるけど、それは半ばウソなんだなぁ。なんか表現しよと思って、まず表現方法を決める。次は書く手段をどうするか決める。筆/紙/絵の具(墨)と3つの道具のうち、一番重要なのは、どれか?なんてったって筆、なんだなあ…

迷い

路上で道を聞かれる場合がワタクシなんだかよくあるんだけど、知りあいにも方向音痴なひとは結構いて、例の『話を聞かない男、地図の読めない女』のごとく皆女性などでは無論なく、論理的といわれるハヤリの左脳型行動のひとも、逆に感覚的といわれる右脳型…

ガッコ頭

カミオカンテの親分、小柴昌俊曰く、人間がものごとを達成する総合的な能力は受動的能力と能動的能力の掛け算で決まる。「受動的能力」とは教授(先生)のいうことを理解して吸収する力で、「能動的能力」とは自分で何を、どうやるのかを自分から働きかける…

プロトコル

モラル=価値観の違いからくる感情の齟齬を、それぞれ「解ってくれない!」「慮れ!」とモラル戦争して、全てひとつの価値観「精神論」=肥大する感情論ダケで把握処理しようとしてやまないから、多様性がなくって〈個〉が存在できる中間領域が確保できなく…

ピュア

「ココロ/魂の正しい在り方」的「存在の美しさ」、ピュアだの素直だの愛だのって、〈私〉的個人の内観、丸裸の本音&欲望をさらけ出だす状態が、正と自然と、スタイリッシュだ教養だ啓蒙だのと〈公〉然作法化された時、「心理学&社会学化する社会」で人格…