2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ホロコースト研究の新潮流

21世紀にはいって起こったヨーロッパ史学研究をとりまく変化とは、大きく分けて3つある。1.統一ドイツ後、東側で保管されていた資料が次々公開となり、研究が深化した*1。2.ECという政治枠組みが生成されその東方拡大は、ナチ犯罪の捉え方も、ドイツ1…

意図か機能か、不毛な歴史家論争

「絶滅命令」は具体的には、いつ、誰に、なにを、どのように、どこで、といったことに関して、人種絶滅作戦の総統指令を直接証拠づける資料がない中、ホロコーストが起こった要因について、歴史研究者の中では意見が2派に分かれた。「意図派」とは、ヒトラ…

ホロコースト賠償騒動

ホロコーストの生存者やその遺族たちが、自分たちの没収された財産について権利請求することそのものが問題で、騒動を引き起こすのではない。問題は、そうした遺族=相続人すらいない「相続人不在財産」を巡る所有権争いである。国際法も各国の法律も大体に…

ナチスの人種選別規定と運用

ナチスの人種差別法とは、1935年制定の「ニュルンベルク法」(ライヒ国旗法/公民法/ドイツ血と名誉を守る法の総称)を指す。その上で38年と39年に2つの反ユダヤ法が制定された。本文だけ読むと、ドイツ人とユダヤ人しか規定していないように読め、これを「…

歴史認識手法のおさらい

巷で喧伝されるナチ犯罪否定論の主な内容とは、大体以下のようなものになるだろうか。 1.ガス室は存在しなかったし、ホロコーストもなかった。 2.チクロンBは殺虫剤で殺人用ではない。 3.「ユダヤ人の最終解決」とは絶滅ではなく東欧移住。それ以外の…

ホロコースト・マトリックス

…と、大きく出ではみたものの、以下はその一端なのであしからず。 「ホロコースト」はユダヤだけ示す、果たしてそれが正しい歴史定説か?id:hizzz:20090309#p6への反論に対する返答を含めた、id:hokusyu:20090324、id:hokusyu:20090326、id:noharra:20090405…