女オタの可視化

id:hizzz:20040324で引用したテキストについて、id:kanoseさん(ARTIFACT)からコメントをいただいた。この日の「世間での「自立した個人」であることの難しさ」というハナシにブッこんだんで、戸惑われたかもしれない。たしかに荒く要点ダケを頂いてしまってるので、もそっとカキコ。
まず、男女オタについての引用(再掲)

男性は何らかのコミュニティに所属している自分を確認する欲求が強いために、「自分たち(=モーオタ)」という存在(フィクション)を作りあげ、そのフィクションを維持するために語り続けるのかなーと思いました。
やおいやジャニーズなどの女性のこのテの文化が、誰にでも参照できるようなドキュメントにされないのは、女性に歴史化への欲求が薄いからかなーとも思ったりするんですが、こうやって男女の違いに位置づけるのは安直でしょうか…。

モーオタとジャニオタの違い ARTIFACT
http://artifact-jp.com/mt/archives/200403/morotajaniota.html

そして、ご自分のスタンスについてコメントを頂いた。

僕がよくやる男女オタネタは、「考える糸口を発掘するためにまず切り口(視点)を作る」ということの一つです。まず、考えるための枠組みを作ってみよう、ということなので、女性オタク側から新しい切り口の提供をされることを期待しています。
やおいやジャニーズの文献化のされなさというのは、端的にいえば、書籍とまでなっているものが2,3冊しかないということです。しかも、それらは女性から批判を受けたりしているのに、それなりの参考にする男性も出ています。書籍として出ないのは、それに商品価値を見出さない男性主体の価値観があるという問題はあると思いますが、ネット上でも、まとまった歴史として綴られているものはありません。女性たちが自分たちの文化を自分たちの言葉でもっと語って欲しいし、それを読んでみたいです。だから、そういう対話がされているということを、知ってもらいたいと思って、サイトで紹介したんですよ。
ネットでミーハーなファンの人たちが語っているのはさんざん僕も見ています。でも、それらを見ても、断片的な理解しかできません。これは、男オタクだけではなく、その世界を知らない女性が見ても、体系的な理解はできないでしょう。だから、当事者によるまとめを期待しているんですが、こういう期待も「男オタクのコード」なんですか?

・目 的:やおいやジャニオタという「女オタ」全般の可視化
・方法論:「女オタ」たちに自分達で語らせる
・現 状:まとまった歴史として綴られているものはない
・問題点:それに商品価値を見出さない男性主体の価値観

まとめるとこういう趣旨かな。ワタクシが思い浮かぶ疑問は、それでは(kanoseさんをもってしても)なぜ「女オタ」は可視化出来ないのか、ということだ。
そもそも「女オタ」は非常に少ないから意識されないのか?それは違う。やおいでも、男性対象アニメに萌えるの多いしなー。コミケでは全体の6割が女性だと岡田斗志夫はいっている。エログロなギャルゲーにハマるのも、多い。それとは系統が少し違うがジャニオタはじめ幼児向け実写ヒーロー番組や、最近は韓国メロドラマ『冬ソナ』迄、対象物にはことかかない。ネットでも、さかんに同好の志でハナシされている。最近の専門カタログ雑誌化した女性誌の氾濫ぶりをみると、コスメオタクで雑誌業界は持ってるような感じすらある。
kanoseさんは、当然こうしたことは把握されておられる。なのに「不満」であると。なんでそうなるのか?ここから考えられることは以下のヲチャー側の欲求がみてとれる。

・「女オタ」を存分に語って充足完成したい
・「体系的な理解=普遍的「女オタ」世界観をつくるには当事者言語不足
・「女オタ」側の出し惜しみ?

そして「女性に歴史化への欲求が薄い」という理由が。現状はどうなのか?コミケ同人活動しているその多くは、自分の日常ではその同人活動を話すことはない。家族や配偶者にさえ秘密にしている者が少なからずいる。ネット上でも、そのハナシが「知らない第三者」に触れられるのを、極端に嫌っている。そこから「儀礼的無関心」という関心をよせる「第三者」を装ったオチャー側からの提案がなされた。が、多くのヲチャーされる側である同人当事者達の反応は「わきあがるほっとけ感」だったのではないだろうか。
さてこのような「女オタ」当事者のふるまいをヲチャーしてると、次の問いが出てくる。なぜ、自分がハマリ込んでいることを、他者に知られたくないのか?
そう、歴史化=普遍への要求が薄いどころが、知られたくないし、口だしされたくもない。それは何故なのか?自分の世界を守りたいからなのではないか。自分の世界に他者はいらないんだよね。「家族や配偶者」にさえ秘密、ではなにを恐れて知られたくないのか?