厚労省はじめ

ワタクシも年金番号複数所持し未統合なので例の5千万件にカウントされてるのだろう年金問題でボコボコである厚生労働省。「厚生」ってどういう意味かと調べれば、『書経』の「正徳利用厚生惟和」からとられ「衣食を十分にして飢えや寒さに困らないようにし、民の生活を豊かにさせる」ということらしい。最初は陸軍主導で厚生省は設立された。え〜、なんで陸軍?とおもったら、国民体力の国家管理を目的とした体育局が一番重要な部局であった。そしてそれに付随して、予防局(優生/予防/防疫)が保健衛生思想を補完する。「皇国民族精神のショウ(「日」へんに「向」)揚」出生増加と結婚奨励/母子保健/体力錬成/国民生活合理化/結核予防&性病予防撲滅を掲げた「健民運動」、いわゆる「健康報国」。戦前は戦争の為の、戦後は労働の為の人的資源管理、そゆ価値感が根にながれる官庁なのだ。大元のモデルは、ナチスドイツとファシスタイタリアの心身鍛錬。陸軍は衛生&体力強化を打ち出したのに対し、衛生に社会政策をもりこんで内務省が対抗し、主導権争いになって、社会政策が盛り込まれた。社会政策=ハンデキャップ救済は、ハンデキャップ人的資源活用への転換をもたらす。が、そこからもれる者は、皇室「仁慈」の名のもとに強制隔離される。>鍾家新『日本型福祉国家の形成と「十五年戦争」』

軍部がもとめる『人的資源の増強』に役立つ児童保護や医療保護あるいは国民生活の安定が期待され、それとその下ですすめられる軍事力や労働力の動員とその援護事業が厚生事業であり、『人的資源』たりない部分の切捨てを意味し、社会福祉の圧殺となった。

池田敬正『日本福祉史講義』

さてはて、前回つながりでいえば「美しい日本の旅」さがしで選定された国立公園が、健全娯楽の推奨=レクリエーション道場として健民運動に結びつく。建国体操/建国舞踊/建国音頭やハイキングコース設定して観光より鍛錬が強調。その最後の仕上げには、「温泉報国」。温泉入るのにも、芸者あげてドンチャラ…でなくって、明日への滋養英気を養い銃後の守りへの供えが叫ばれた。ま、しかし、本土空襲等で戦火が拡大するにつれて、ノンキに温泉浸ってたり体操してるドコロじゃなくなって、自然消滅。わはははは。現在では、厚労省ではなく通産省の外郭団体余暇開発センターが、レジャー白書とか出してる。
戦後は、「皇国」の代わりに「民主主義」を基とした「公共福祉」の名の基に、行政はあいも変わらず個々の生命や肉体をアレコレ指図する。あぁなに、メタボだとう?んなもの、国に数値認定されるスジアイのもんではないやい。