雇用環境と労働教育政策の貧困

大卒&大学院卒な高学歴てんこもりな方々とて、労働(&コミュニケーション)スキルのなさが就職阻害というならば(日本版ニート)、やることはジョブカードでなくって、容易にスキルをつける場を用意することだろう。大学院にいかない成人後の教育は、企業まかせで政府は知らん顔というのがそもそもおかしい。id:hizzz:20061219#p4でかいたとおり学校でも企業でもスキル習得機会を逃した者には、社会で随時スキルアップする機会がなければ、当人の意欲がいくらあっても、躍進する社会から取り残されるということに陥る。職業訓練校はそもそも雇用保険需給資格者が対象であるから、最低でも1年間継続雇用されていないとダメだし、年度ごと(多くても半年ごと)の募集ゆえ、タイミングが合わないと受講できない。なによりも、求職ニーズに沿う訓練メニューが提供されているとは限らない。
だがしかし、スキルを付けジョブカードがいくら適正活用されたところで、せいぜい求職と雇用職ミスマッチがいくらか解消される程度であろう。ミスマッチ採用で「3年以内にやめる若者」を幾らか減らしたところで、人件費が拡大し50%に減った正社員雇用枠が増大するハズがない。そこで「(登録型)日雇い派遣禁止」を打ち出せば、正社員雇用ははたして拡大するのか?
ワタクシ考えるに、限りなくバイト的給与な正社員か、専門子会社からの出向扱いの契約社員か、社会保険適用に達しない短期バイトが増えるだけだろう。ネットやメールで届く求人情報に数種気軽に応募・取消でき、職歴や学歴を問われない派遣の仕組みは、求職者にとって求職機会の拡大であり、便利であったことはまちがいない。しかしその目先の便利と引き換えにしたものは、大きかったのであるが。たしかに「日雇い派遣」の現状は醜い。だから廃止としてしまうと、現在「日雇い派遣」で糧を得ている者はどうなるのであろうか。特にコミュニケーションスキルに難がある者や、外国人、定住所を持たないネカフェ難民を含む彼らの全てが程よい直接雇用にありつけられるとは、到底思えない。さらなる選別化に分断されるのではないか。であるなら、間接雇用全面禁止ではなく、一定保障の上での運用をめざすべきでないだろうか。
要は、雇用パイの拡大=経済政策と、労働環境・保障整備=労働政策と、労働スキル取得機会確保=教育政策の3つが同時に回らないと、当事者にとってハナシは始まらないということだ。