レッテル貼闘争

女性国際戦犯法廷」の特集番組を製作したNHKが、内容を改変して放映したと女性国際戦犯法廷主催者が4年前に告訴してる問題で、NHKディレクターが「事前に相当圧力があったらしいと聞いている」と記者会見するわ、朝日新聞が元放送総局長への取材で、放送前日に中川昭一安倍晋三に「お伺い」立てて「圧力があった」と報道し、当の元放送総局長が「言っていない」と否定した件。NHK vs 朝日つーバトル。
そりゃあ他人の騒動は蜜の味なヲチャーにとっては、たまらん一件。天下の「皆様のNHK」対「良識と正義の朝日」なんだもの。自らの依って立つ思想信条の上下左右前後斜め関係なく、この物件にわらわらと物見高くたかる、たかる。
そおんなトコに、ノコノコと飛んで火に入る…とばかりに、朝日を全面擁護する記者 ブログが登場。これが、なんと当事者朝日新聞記者だと身元が暴れて、祭り。あっという間に炎上。でー、その件で朝日擁護の「IT関係にとりわけ強い」と自称なさる弁護士センセエが記者ブログを炎上させたものを「民主主義の敵」と「ネット右翼」断定噴火し、そのカミングアウト右翼を募集し「たいしたことないですね」早々と勝利宣言という香ばしい燃料を投下中。。。。
わっはっは。どいつもこいつも登場人物がそろいもそのそろってワキ甘く、もれなく地雷を踏むという大サービス、ひっこみつかないままメンツ保持に苦心してダメポぶりを晒しまくる様はツッコミどころ満載。あれですな、えらそーな専門的カタガキを名乗っている割に、どなた様もすべからく、コミュニケーションリテラシーをお持ちでない、ってことをお晒しになっていらっしゃる。

正義と欺瞞

信条とする思想の上下左右前後斜め関係なく、自らの正義をなによりもプライオリティとしそれを立証確認する為に他者の欺瞞を必要とする方法論を採用しているひとは多々いる。
さてここでもう何度もシツコクシツコクシツコ〜クこのダイヤリーでカキコしてる原則を確認しておこう。
目的は手段を正統化しない
てゆーか、あんたら(=今回登場する専門家&識者&センセエ様方)の錦の御旗の専門見識つーとこから繰出される自明のワキの甘さ=これくらいならいーだろうという他者への配慮を欠いたワキの甘い言動と、それをつっこまれ押し戻されると、更なる自己無謬性を権威&専門を盾に排除無視するそんな上意下達方針のドコが「民主主義」なんだか。
まえにもカキコしたが、民主主義つーのは、思想でなくプロトコルだろう。したから、そこでやっと上下左右前後斜め関係なく思想信条(&趣味&妄想)の自由(=共存)が担保出来うるのである。
「正義」=「民主主義」ではない。なぜならば、「正義」というものは、必ずその背景に思想信条を担保とするからだ。したから、その思想信条の異なる者=他者/異者同志にそれを絶対正義として提示すればコンフリクトが起こる。今回の一連の事件でボロを出しまくるひとびとは、かかる信条の上下左右前後斜め関係なく(あーメンドクサイ)おしなべて「自分の思想信条とする正義が唯一にして不可侵の心理である」と信じて疑わない教条的折伏行為を当然のように繰返すからである。
「公共」とか「民主主義」とかいうフロシキを広げる割に、そゆことを踏まえていらっしゃらないような論者が多い。自己主張のプライオリティ(=行動目的)に「正義」を掲げ、それを「公共」に広く訴えたいのなら、その信条とする正義に拙速になるあまりに憶測を事実/真実として認識する飛躍でなく、ストッパーを自らに厳しく課し、何度も検証する必要があるだろう。もう一度書く。目的は手段を正統化しない。
なーんてことをカキコしてたら、フォルトゥーナの彷徨さんで、かさぎり羽問題を思い出したと、innnernetなやすらぎid:hizzz:20040716を。あはは。ホントそうそう。

ウヨサヨ論争

このネットでの祭りを、体制(政治家/NHK)vs 反体制(女性国際戦犯法廷/朝日)というウヨサヨ論争に短縮的に片付けよう賭する向きがある。
自らの依って立つイデオロギーを盾として、それに刃向かう者は押し並べて反対のイデオロギー陣営のものである。そういう思想システムに乗っかって「ネット右翼」そんな見方しか出来ないから、尚更、反動の火がつくのである。
右翼も左翼も、自分たち以外(制度外の第三者)という存在を喪失している。そして喪失しつづけてるが故に、なんとかしようとして居丈高になり、更なるお手付きを重ねて、パンピー(=イデオロギー的正義思想を持たない者=ウヨサヨ制度外の第三者)の支持を減らす。それなのに、それを反対イデオロギーの所為(策略)にして、目を耳を塞いで、自らのイデオロギーに篭城する。ま、ひきこもるのか、たてこもるのかは、勝手だけどね。自己正統化の為になんで他者を引きずり回そうとするよ?
そんなイデオロギー合戦で、今回消費され踏みつぶされたのは「女性国際戦犯法廷」で取上げられた、「慰安婦」に他ならない。NHK vs 朝日となった時点で、「女性国際戦犯法廷」なんかどーでもいーのである。こんな時にこそ、フェミニズムは怒るべきぢゃあないのか?特にサヨの皆様、「ネオリベ*1だの「ネット右翼」などという空想集団づくり=レッテル貼なんかにやっきになっとらんで、その「道義的責任」*2という文学的抽象的な言葉ばかり羅列しとらんと、それに似合う現実的な落とし込み=具体的政策提言を何故しないよ?
いったい、何回彼女達は、ワキの甘い連中の自己正統化の為ダケに、晒し者にされ体よく「使われ」て「見捨てられる」のであろうかねぇ。

女性国際戦犯法廷 認定の概要
http://www1.jca.apc.org/vaww-net-japan/womens_tribunal_2000/judgement001212.html


追補
「匿名」批判というのはネットに対する批判としてよく聞かれるのであるが、それでは、固有名を出した言説が信用おけるというのの、その「信用」とやらは、ドコから来ているのであろうか。名門の出だから?有名人だから?大会社の社員だから?メジャーな組織に属しているから?有名大学に在籍してるからいいのか?国家資格認定されたカタガキがあるから?…発話された中身ではなく、その背景の出自や所属こそが重要視というなら、それは階級意識、いや、選民思想そのものではないか。それのドコが「公平」なんだ?
個人の資質を問うたり、バカよばわり=人格攻撃したり、「ウヨ」「サヨ」等のレッテル貼りが有効な批判であると想ってる言説については、id:hizzz:20040602に。

*1:右翼認定出来ない左翼以外で、左翼上下構造(問題提起=救済者と当事者=弱者)に配列出来ない者、左翼シンパでない者は、これにカテゴライスされ批難排除されるようだ

*2:思想信条の自由を掲げるデモクラシーを礎とする法体系は、結果としての行為責任を問うことは出来ても、いかなる「道義的責任」にもタッチしないのが大原則である。なぜなら、道義的とは、思想信条に値するものであるからだ。だから、この問題は「法」では解決しない。id:hizzz:20040424#p4