人権マイナスドライバー

秋葉無差別殺傷事件でダガーナイフを販売しない≒所持ダメになったっつーのは結構知られているようだが、このほど「マイナスドライバー」を持ってたひとが捕まり、実名報道

25日、直方市直方、無職、(フルネーム記述)容疑者(59)を、同日午後2時35分ごろ、自宅近くの路上で、指定侵入工具であるマイナスドライバー(先端幅0・5センチ、長さ21センチ)を隠し持っていた疑い。警ら中の署員に気付き、逃げる素振りを見せたため職務質問した。「自転車修理に使うため」と供述している。

事件事故裁判:ピッキング防止法違反容疑で逮捕 /福岡
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20081126ddlk40040610000c.html

指定侵入工具
法第4条では、業務その他正当な理由のない指定侵入工具の隠匿携帯が禁止され、法第2条第3号では、指定侵入工具とは一定の工具のうち建物への侵入の用に供されるおそれが大きいものとして政令で定めるものをいうこととされました。
昨年中の侵入窃盗について、犯行に使用した器具等についてデータがとれているものを分析したところ、ドライバーを用いたものが一番多く、次いで、バールを用いたものが2番目に多いという結果になっています。(なお、ピッキング用具を用いたものは3番目です。)また、本年に入ってから、ドリルを用いた侵入手口による侵入窃盗の発生が急激に増加しています。
さらに、このような工具の中でも、一定の形状、大きさのものが使用されていることから、この政令では、指定侵入工具として、次のものを定めます。
(1)次のいずれにも該当するドライバー
   ・ 先端部が平らで、その幅が0.5センチメートル以上であること。
   ・ 長さ(専用の柄を取り付けることができるものにあっては、柄を取り付けたときの長さ)が15センチメートル以上であること。
(2)次のいずれにも該当するバール
   ・ 作用する部分のいずれかの幅が2センチメートル以上であること。
   ・ 長さが24センチメートル以上であること。
(3)ドリル(直径1センチメートル以上の刃が附属するものに限ります。)

特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律施行令試案(ピッキング防止法) 警察庁
http://www.npa.go.jp/comment/result/seianki2/pcseireishian.htm

なんでこんなことで捕まって、他に何処かに侵入したという証拠がない以上微罪だろうに、このような実名報道までされなきゃなんないのか?この記事ではまるでわからない。ワタクシ、かばんのいくつかあるポケットの中にラジオドライバーセットとかカッター&ピンセットとか色々と昔からの習慣で常備してる率が高いんですが、、、ハードな工具箱とかでこれみよがしに携帯してないと、「隠し持ってた」となるんであろうなぁ。あぁなんてぇ世の中なんだ。。。

上記のブツは3年前に浜松町を歩いてたら、「12月10日は人権デー」つーキャンペーンで港区様にいただいたもの。人権という要諦ネジをしっかりしめとくってことか、規則ぎちぎちの関係に人権という適切なゆるみを持たせ幅をとることか、人権とドライバーとの関係がいまに至るまで不明ではあるまま忘れ去っていたのであるが(やはりもらいもんなので造りがアマイ)、ちと思い出したもんで。

大山鳴動してネズミ1匹

元厚生事務次官夫妻刺殺連続事件。「年金テロ」と煽りたて、情報もなにもないのにもかかわらず連日トップニュース扱い。なんせ、夜の7時のNHKニュースのトップのコピーが「犯人は右利きの可能性」なんだもの。小泉容疑者が「自分は左ききだ」と犯行声明で言及したのも、きっとこのNHKニュースが年頭にあったにちがいない。おバカキャラをフューチャーしたクイズ番組や一発芸に飽きていた視聴者を繋ぎ止める為に、これからはドキュメンタリー・報道だということで出来てた番組で、タレント文化人達がさらに薄い情報を基に無難な印象論を喋って埋め草としてる。ワタクシは、これは連日の景気降下とか麻生政権ネタとかをそらすメディア陰謀なんぢゃないかと、年金問題にひっかかる政府自民党の起死回生策=弔い解散&選挙とか、真っ黒な妄想で頭がクラクラ。そして毎日新聞が、またネットソースで「ネットに犯行示唆?」というポカ記事を出す香ばしいオマケ付。>http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081119k0000e040034000c.html
昔飼い犬を保健所で処分されてたことが動機であると出頭した容疑者はいったが、管轄違いとあまりにも昔のことであること、又退職して以来10年程の生活手段が不明であった為に、メディアはそろって彼の背後関係に疑いをもっていた。
だが実はその何十年前の殺処分の恨みというのは、TV報道で思い出しスパークしたのではないだろうか。
10〜11月にかけて、複数のワイドショー番組で保健所の殺処分ドキュメンタリーが放映されたのである。一日中何回かあるこうしたワイドショー・ドキュメンタリー・報道番組では、たとえ「特集」と銘うっていかにもその番組枠独自取材のような映像であっても、結構ネタの使いまわしがされることが多い。とりあえず確認出来た番組では、10月24日テレビ朝日スーパーモーニング『不要ペット回収の実態』、11月6日本テレビ・スッキリ『保健所で殺処分』が放映されている。無論、番組の意図はペットは一生面倒を見るようにということで、規則のその中で動物たちを懸命に世話する人たちとか、なんとか命を救おうと窓口にきた人を説得する姿だったり、引き取り手をさがすNPOの取組だったりすることである。そして、1週間後、処分室に自動的に移される犬達の姿。無論、だからといって保健所やその管轄所に逆恨みする筋合いのものではないし、ペットブームの影で起きている残酷を放映する意義は、社会に継承を鳴らす報道として王道である。
しかし、このことがまるでなかったことのようにして、同じ番組枠で「何で飼い犬の殺処分なんでしょうねぇ?」といってのけてすますTVキャスター達の安易な報道姿勢は、いただけない。しかしTVの報道重視は、フタを開ければ「情報ワイドバラエティー」。映像はどうしても感情印象を増幅させる方向にいく。殆どの画面にテロップが付けられ、とどのつまりザッピングの今北産業向けに判りやすいスキャンダリズム、瞬間視聴率稼ぎ。そのようなものばかりが一日中画面を埋め尽くしているTVは、もうはやじっくり観るようなシロモノではなくなってきている。
どうやらこれが陰謀うごめく「年金テロ」でなくてTV前の良識市民たちは、なによりも見たく聞きたくない自分たちの家族関係履歴をふりかえざるを得ない「代理親殺し*1」による自己清算のようであったことで、急速に事件への関心を失っていった。
結局、社会的繋がりを殆ど断ち、貯金とネット株などで生計立てていたが補填のカードローンが嵩んで経済的にも行き詰ったとこでの、最近幾つか報道されてる大人になりそこなった若者の一発逆転的スジ違い事件・思い込み単独犯=自己責任ということで、論調のカタをつけそうな世論情勢となっている。

文部科学省の局長らを殺害するとインターネットのブログに書き込んだとして、警視庁は29日、東京都文京区本駒込、無職前田記宏容疑者(25)を脅迫の疑いで逮捕した。
同庁幹部によると、前田容疑者は東大卒で、「理想を持って勉強してきたが、教科書と違う現実があることを思い知り、文科省にだまされたという感情が高まった」などと供述しているという。
 ブログには「目的は詐欺教育に対する天誅(てんちゅう)。国民主権を回復し、抵抗権を行使して悪を殺害する」などとも書き込んでいたという。

天誅文科省局長ら殺害」と東大卒の男がブログに、逮捕
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081129-OYT1T00510.htm

文部科学省官僚への殺人予告をしているのは私です
http://d.hatena.ne.jp/realiste0/20081120#p2
http://s03.megalodon.jp/2008-1120-0956-16/d.hatena.ne.jp/realiste0/20081120
早速出てきた、テンプレ犯。こうして「一世一代」な犯罪も又、あっという間に消費されていく。

*1:だからこそ、夫人も同等の殺意でもって殺したのであろう

皇国のセルフ・ディフェンス・フォース

朝生『田母神問題と自衛隊』。田母神発言は「言論の自由」と「政治コントロール」の問題点に分かれる。その内、田母神個人の言論の自由を有していることについては、誰しも認めるところであった。問題は、政府機関の一員でありながら政府政策に逸脱もしくは反する(防衛&外交上の阻害となる)公的言動、彼の経歴と自衛隊資質の実際、その政治「処分」経過は妥当か否かという点で喧々諤々。
田母神完全養護は、水島総チャンネル桜花岡信昭産経新聞西尾幹二。なかでも西尾が1人で大スパーク。戦前のほうが言論の自由があった、自衛隊人事介入はシビリアンコントロールではない越権行為、憲法改正してガンガン北朝鮮制裁いくべし(with水島「核武装」)、今こそ日米安保依存から日本が独立するチャンス、アジアの国は日本が軍事力を持つことが対中国の盾になると望んでいる、日本は世界中で唯一侵略されたことがなかった国…とパネルを駆使し口をとがらせ顔を赤くしていつもの断定自説展開という特攻隊長ぶり。水島&花岡はたまに口出しする程度。田母神論文自衛隊の関係を説明しようとする水島が、自分とチャンネル桜と映画監督との立場を持ちだして、小さいながらも公共メディアの代表であるとこと、現在こうして発言している個人とは別であるという。が、趣旨は、媒体変わろうがそれ全部一緒なんだがな(苦笑)。アパ論文審査委員だった花岡は、審査終了後受賞者が田母神だと判った時に当人に大丈夫かと聞いたら問題ないと言われたとのこと。
それに反論したのは、田母神の指導官であった森本敏歴史認識が一方的でエスタブリッシュされてない田母神は、昔から「特異」な考を持っていた者であったが、自衛隊は戦闘部隊指揮能力だけで指揮官を選抜してきたという。やめさせ方が不合理で、懲戒免職にするべきだったが、実際には言論の自由があるからすんなり免職には出来なかったから今回のような経過(空幕長更迭して1階級下は60歳定年であるからすぐさま期間満了退職)となった。過去の歴史については、国会&ジャーナリズムも「歴史認識論争」を避けている、日本国全体が軍隊の使用を誤った=ミスリードしたという。
いつもの左派の皆様(姜尚中小森陽一田岡俊次辻元清美)は激情することもなく、西尾の特攻断言に一斉にツッコミ入れるほかは、要点をぼそぼそ述べる姜に、補足的に発言する程度。衆議院議員の辻本は、田母神喚問が参議院で行われたこともあって情報収集が薄かった模様。田母神が科目創設した幕僚学校の「歴史観・国家観」講座の講師として、6年間にわたって「新しい教科書をつくる会」幹部達がなっていたことを指摘。田岡はM資金の口利きをやってる人物を隊講師に呼んでいると、これまたいつものオタッキーなネタにもってく。
平沢勝栄がいった、田母神は議論が大きくなることを望んでいたという見解は一同受け入れられていた。政治家に自信がなかったという田原総一郎は、NHKはなぜ中継をしなかったのかという点にこだわり、問題を曖昧にし田母神をなるべく喋らせないように自民と民主が結託したんだと、浅尾慶一郎民主党にせまる。田母神への質問の浅さをつっこまれた浅尾は、田母神個人の言質よりも、そんな彼を昇進させてきた背景のほうがより問題の本質にあると反論。
しかし、いつもおもうんだが、なんで「近・現代史」がテーマとなっている議論に、1人の歴史学者も呼ばないんであろうか?それで、田母神当人を呼ばないとこでもって議員&ジャーナリズムも「歴史認識論争」を避けているといってガタガタいってても、底が見えてるデキレースだしなぁ。id:hizzz:20081102#p2で書いたような昔と同じだ。水島がいってるように公共メディアにたずさわっているジャーナリストは社会公正なんだから、特に史学専門家はいらないとでも思っているんだろうか?パネル説明される説に断片的にツッコむという印象批評的なものの繰り返し、でそれの史学的定説は決してきちんとは解説されない。そんな討論をいかにもタブーにきりこんでる番組とばかりやってるから、ったくテレビってやつは…、なのだ。
激論!田母神問題と自衛隊 視聴者アンケート結果
http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0347.jpg
http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0348.jpg
田母神発言に共感61%、自衛隊の存在を憲法に明記すべき80%
・11月11日参議院外交防衛委員会 田母神俊雄参考人招致
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/reference.php?page=1&cd=2885&tx_mode=consider&sel_kaigi_code=0&dt_singi_date_s=2008-09-12&dt_singi_date_e=2008-11-11&tx_speaker=&sel_speaker_join=AND&tx_anken=&sel_anken_join=AND&absdate=2008-11-11&s
・田母神前空幕長の国会証言(全証言掲載)
http://nishimura-voice.seesaa.net/article/109539749.html
・田母神&田原が言及したネット世論調査(ヤフー)
http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/quiz/quizresults.php?poll_id=2909&wv=1&typeFlag=1
田母神論文まったく問題ない46%、ほとんど問題ない13%
・NHK世論調査
http://blog.livedoor.jp/fist_e_h/archives/929905.html
政府の任命責任大いに有30%、ある程度有35%
日本テレビ世論調査
http://www.ntv.co.jp/yoron/200811/index.html
更迭適切59.8%、退職金返すべき53.1%
・JNN世論調査
http://jp.youtube.com/watch?v=4WtMOrU_iVc
退職金返すべき72%
たかじんのそこまで言って委員会 「国防スペシャル」
http://jp.youtube.com/watch?v=3QrMuBp1iwA
田母神俊雄出演

テレビ時代=テレビ教育国家の黄昏

今年9月時点の普及世帯は約2350万世帯で、政府などが目標としていた2600万世帯に比べ250万世帯少ない。普及対象の全5000万世帯に対しては約47%にとどまる。景気悪化の影響で年末のテレビ商戦も期待薄となっており、政府や関連業界は普及に向けた体制や計画の見直しを迫られる可能性がある。
総務省が5月に公表した世帯普及率は43・7%だった。8月の北京五輪に向けたテレビ商戦をバネに、一気に50%超えを見込んでいたが、実際には3ポイント強増えただけだった。
ただ、目標達成には半年で500万世帯を超えるペースで普及世帯を増やす必要がある。完全移行が遅れれば、放送局はその間、現行のアナログ、地デジの両方式で放送しなければならず、地方局の中にはコスト負担で収益が大幅に悪化するところも出ると予想される。
当面のかきいれ時と期待される年末商戦だが、「ここへ来て消費はかなり冷え込んでいる」(大手家電メーカー)と厳しい見方が多い。普及の遅れを取り戻すことは容易ではなく、完全移行までの全世帯普及に「黄信号がともった」との声も出ている。

地デジ低調、現状で世帯普及率50%超ならず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081201-00000015-yom-bus_all

はいはい。新聞・雑誌・TV・ラジオといった4大マスメディアの媒体ビジネスの凋落に歯止めがかからない。07年の数字では、総広告費約7.0191兆円内4大メディアの割合は50.86%(新聞13.48%、雑誌6.53%、TV28.47%、ラジオ2.38%) *1 *2。新しい媒体としてはネット8.55%、フリーペーパー&マガジン5.25%が成長してる。
古いメディアである本・雑誌は、バッシングであろうとネットがとりあげることで売れたりもする微妙な関係となってはいる。いわば、情報伝達の中間を一手に引き受けることで成り立っていた報道メディア=新聞・TVの機能はネットに、80年代以降の雑誌が担っていたサブカルトレンド情報はフリーペーパー&マガジンに置き換わりつつある*3。ま、したから米国が民主党政権になりますます旗色が悪くなった「つくる会」などの反動保守派にとって、この度の「田母神フィーバー」は、このうえない媒体なのである。いくら田母神発言を叩いても、パフォーマティヴに『WiLL』の売上増に貢献してしまうこととなる。したから陰謀論&創作史な皆様おおはしゃぎ*4。それが見えているから叩く方は、尚更かったるい。
竹内洋は活字的教養とテレビ的教養の比較から以下6つのテレビ属性を挙げている。

1.アクセシビリティ=テレビはスイッチひとつで容易に知識を獲得することができる“手軽さ”をもっていること。
2.非アクセシビリティ=テレビによる教養は、あらかじめ用意された内容を、あまり選択的な努力なしに受け取ることができること。
3.帰納的・経験的思考=テレビによる知識獲得過程は、具象的なものから出発して法則に到達するという方向をとる。
4.画一性=テレビが時間拘束的なメディアであることから、たくさんの人々に画一的な教養内容を与えるということ。
5.生活設計としての活用=テレビで放送されている卑近な事象やフィクショナルなドラマのなかから、“生き方”についての指針や助言を得ていること。
6.理解容易度=テレビでは、難しいことでも、かみくだいてわかりやすく教えてくれること。

竹内洋日本主義的教養の時代―大学批判の古層

さて、このしくみに乗っかっていた既成大権力機関は、なんであろう政府なのだ。政府にとってのマスメディアとはなにか?それは、「世論生成装置」なのである。その機能を持つ故、メディアは政治権力を持つ。田原総一郎がなにかといえば、ネットを持ちだすのもその意識からであろう。新興勢力への反動からくる田原の仕切り=民意生成は、仕切ろうとする程にネットには及ばない。朝生が深夜というネット稼働時間と並行して行われたものであり、反動保守派がさかんにこの番組を宣伝したこともあって、「田母神問題と自衛隊」視聴者アンケート結果は、いとも簡単に反動保守向きな世論形成を示した。さてこの「成果」に、田原は声なく、さんざん反論してきた姜尚中はニガ虫をかみつぶし、「視聴者の声」を支配出来た反動保守ネットな皆様はおお喜び。さんざん世論をあおってきたTVのしくみって、そんなものなのである。

閣僚経験のあるベテラン議員は、事態の深刻さについてこう述べます。「『自虐史観』などということをいう政治家が増えたし、国民の間にもそういう空気が広がっている。その中で、空自の長が公然と政治介入し、政治を批判した。一歩間違えればクーデターだ。海外活動を本来任務とする実力組織のトップがあのような歴史認識を示すのは、アジア諸国との関係から見ても重大だ。私自身も『左』のイデオロギーには厳しかったが、『右』には甘かった。これは反省している」
ただ、元防衛庁長官の一人は、不気味な“予言”をします。「米国の金融危機と経済混乱から、米国が世界の警察官としての役割を果たせなくなり、そのヘゲモニー(支配的影響力)が後退して、太平洋にも力の空白が生じてくる可能性がある。田母神氏の発言は更迭に値するが、それとは別にこの問題は考えておかねばならない」
安保問題を担当する民主党衆院議員も、「アメリカ一極支配秩序の崩壊」の現実を直視せよとして「いつまでも『アメリカ頼み』では、我が国の国民の生命も財産も守れない」と述べています。
軍事力による覇権の維持に固執する限り、政界の中からも田母神氏の主張に同調する流れが出る危険があることを示しています。

田母神問題“靖国派”が引き金 懸念する自民幹部も
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-11-30/2008113001_02_0.html

理性的対話による合意という市民的公共性を建前とする議会制民主主義のみが民主主義ではない。ヒトラー支持者には彼らなりの民主主義があったのである。ナチ党の街頭行進や集会、ラジオ聴取や国民投票は大衆に政治的参加の感覚を与えた。
何を決めたかよりも決定プロセスに参加したと感じる度合がこの民主主義にとっては決定的に重要であった。ワイマール体制(利益集団型民主主義)に対してヒトラーは国民革命(参加型民主主義)を提示したのである。つまり、ヒトラーは大衆に「黙れ」といったのではなく「叫べ」といったのである。

津金澤聡廣・佐藤卓己広報・広告・プロパガンダ (叢書 現代のメディアとジャーナリズム)

しかしそのメディア支配変動の危機に立つからこその、新聞・TVジャーナリズムに依るマッチ・ポンプの果てのネット叩きなのである。そして補助金を出して迄、地デジ普及にやっきになるのは、こうした「世論生成装置」という既得権益を守ろうとする為にほかならないのではあるが、いままでの「テレビの時代」は終わってくのである。

教育が国家の統治行為であるということは裏返して見れば、近代以降の国民は無知である自由、あるいは無知である権利を持ってはいないことを意味します。

山崎正和文明としての教育

戦前・戦後に「輿論」が「世論」化し、その輿論=個人意見と世論=世間の雰囲気の使い分けによって戦後史がどのように変化したか、戦時動員された与論すなわち「ヨロンとよまれる世論」をいかにして討議可能な興論に復員するかという問いに佐藤卓己輿論と世論―日本的民意の系譜学』は挑む。彼によると、本来個人が担う意見である輿論に、世論を流し込む無責任のトリックによって主体責任を曖昧化してきたと考察する。その輿論を復活させる為には「感情の言説化」が必要という。ネット上で直情的な発言応酬が圧倒的であればある程、反時代的な「広議輿論」と「不惑世論」は輝きを増すとし、「ネット輿論」と民意リテラシーに可能性を見出している。
しかしながら、今までの「テレビの時代」が終わっていくとするならば、必然的にいままでのマスメディアバランスの中で成立していた「ネット形態」もまた終わり、変化せざるを得ないのである。

*1:http://markezine.jp/article/detail/2749

*2:電通の今年の第2四半期決算報告に依ると、08年4月1日〜09年3月31日の業績予想は、経常利益△19.3%、純利益△30.5%、新聞△14.3%、雑誌△8.6%、ラジオ△7.1%、TV△3.1%と真っ赤っか。。。

*3:しかし、フリーペーパー&マガジンは購読者定着しないのが大半で、出ては消えてく戦国状態

*4:いっとくが、これはなにも皇国史観&右派&民族派にかぎったことではない。田岡俊次が妙にはしゃいでるのにみられるように、「軍隊」をめぐる権力陰謀には、右も左もおおいに惹きつけられているのである。西尾幹二水島総がいくら過激なことをいっても、彼らは所詮卓上ファンタジスト。だからこそ、田母神というリアル軍身体の出現で、自分たちの持つ暴力ファンタジーと実務制度リアルとの接合点だとばかりに、その発言価値がMaxに見積もられた。