追補

lepantohさんも述べておられるが、単なる「ボーイズラブ」「少女萌え」という表層意識でこの2冊の高原本にあたると、その無意識の中にあるセックス・コンシャスで処理してきた安全地帯の自意識のヌルさ(建前=嘘)をつっこまれることにもなる。だからワタクシとしては面白ろかったんだけど。


高原本趣旨重要確認事項
●〈少女〉〈少年〉は、思想としての性
実際の性別/年齢(10代)をただちに対象/反映するものではないし、「男子/女子」という産まれながらの生物学的性(sex)で固定された性別役割型発想(Gender)とも違う


●〈少女〉と〈少年〉は追求理念「自由と高慢」「無垢」で繋がる双子的存在
「空想の性であること。それは、世界のすべてに対してマイナーであることを意味する。 ならば必敗の営為である。だが、そうした意識があるということに関しては妥協するな。 わたしたちは、ひとりひとり、固有の性に生きる異様な者たちであるはずだ。」
故に上記読書ノートでは『少女領域』と『無垢の力』の両テイストを混在して記述。


●〈少女型意識〉と、少女小説的生理とは、本質的に異なる
「「少女」としての自己規定が強すぎ、性を越境していく契機に乏しいため、少女型意識的とは言えないものが多いように思われる。少女が「少女らしく」なろうとし過ぎるとかえって「少女型意識」を圧迫してしまう。」
類型化されてその中で展開するジャンル小説の主人公達とは似て非なるものであるということ。


●作品世界だけ読んでいればいいというスタンス=文学作品主義は批判
著者は「弱く尊い」とする無垢への想いに存在の可能性をさぐる一方で、「無垢」に添い遂げようとする自己愛への危惧と困難を指摘。


kdgcさんによる『少女領域』書評
http://d.hatena.ne.jp/kdgc/20031019

gosyuさんによる『少女領域』書評
http://d.hatena.ne.jp/gosyu/20040118#p1

lepantohさんによる『無垢の力』書評
http://d.hatena.ne.jp/lepantoh/20040513#p1

岩松正洋さんによる『無垢の力』書評 週刊書評
http://www.so-net.ne.jp/e-novels/hyoron/syohyo/191.html

Atoriさんによる『無垢の力』書評
http://d.hatena.ne.jp/Atori/20040525

lepantohさん&Atoriさんによるやりとりコメント欄
http://d.hatena.ne.jp/lepantoh/20040525

『無垢の力』と『プラネテス
http://d.hatena.ne.jp/Atori/20040530

id:herecy8さん経由
 マリみてブームとロリコンの精神性の関わりについて
http://d.hatena.ne.jp/izumino/20040525