2004-05-24から1日間の記事一覧

追補

lepantohさんも述べておられるが、単なる「ボーイズラブ」「少女萌え」という表層意識でこの2冊の高原本にあたると、その無意識の中にあるセックス・コンシャスで処理してきた安全地帯の自意識のヌルさ(建前=嘘)をつっこまれることにもなる。だからワタ…

自分セカイの中心で愛を叫ぶ

女性は〈少女〉理念を様々なケースで吟味することで欲望とその形態は多層多重化して拡散した主体=自由を手にいれる。一方男性は〈少年〉理念を喪失することによって客体化し自由を手にいれ、「欲望とその形態」ソレは〈少女〉なるものとして単一化すること…

戦闘美少女

さらに著者は歩を進める。斎藤環『戦闘美少女の精神分析』は、晩年三島天皇論と思想的裏付けのない相似であると看破する。 戦闘美少女の持つ、「無垢と攻撃性」は、中世の僧院において観音の化身として僧たちが崇めつつ犯す存在であった稚児と等しい役割をに…

「私でありたくない私」

ああぁ、どこぞで何度となく聞いたセリフだぁ(苦笑)id:hizzz:20040210#p3。同性愛志向ではなく「私でありたくない私」の告白、それが三島由紀夫『仮面の告白』の内容であると著者はいう。自己と絶対に異なる容姿性格行動&欲望を持つ「他者」な故に愛し憧…

文化的背景

「少年愛」とは単なる性愛の分類上の名称ではなく、固有の背景によって当事者の意識・価値観・欲望を規定した文化を意味する。 明治以後、固有の欲望と意志をもち、他者と強豪し葛藤し、融合することのない、西洋近代の自己主張型「主体」に対し、日本の意識…

欲望対象

ルサンチマンに満ちた権力欲望が自己に「濁り」を与えそれに耐えきれなくなると〈少女〉に浄化をもとめ欠落感を埋める室生犀星『或る少女の死まで』では、非人格で清浄と救済の巫女としての〈少女〉礼賛により、自らの生なき自己肥大矛盾は隠蔽される。 珍し…

〈少女〉

〈少女〉という〈個〉を支える思想が成立したのは、かっての稚児の流れをくむ〈少年〉の無垢・美観・魅力が少女にシフトし、女性人格が想定されはじめた大正半ばでであるとし、その要は「自由と高慢(誇り)」への願望(自己愛)であるとし、それを「少女型…

〈少年〉

近代日本文学における〈少年〉的自己愛の表出は、自己の客体性の自覚からはじまった。「憧憬の文学」は、後には他者欲望の体系として語られ続けてきた性愛を、自己憧憬の体系として編成し直し客体性を魅惑的要因=自己愛として提示する。客体性自己愛とは、…

憧憬の倫理

弱者であることに価値を見いだし「無垢」を最高の価値とし、その唯一の通路としての憧憬が「憧憬の倫理」として、〈少年〉〈少女〉への憧憬というカタチをとおして表現される。情動を自己の理想とする他者に向けることによって「憧憬」という感情を発生させ…

理想のカタチ

id:lepantoh:20040513#p1で紹介されていた、高原英理。『少女領域』、『無垢の力―「少年」表象文学論』。こ、これは、、、読まんでどーする?と思いつつ、やっと機会あって、読んだ、読みましたよ! 表象、近代自我、主体/客体、忖度関係(みんなって誰問題…