レゲエの立ち位置

id:hizzz:20040624#p1についてカンタン系さんからまたもやリファーを頂いた。ありがとうございます。サウンド傾向を重視していらっしゃるけれど、ダブがロックステディのルーツをくむものであるとは前回カキコしたとおりで、ボブ・マーリーがダブの影響受けていることにはまったく同意。「サウンドシステムだけで上位下位の線引き」をしてるのではない故「ラスタファリズム」についてカキコした。米国本土(西欧文化社会)に於けるサウンドルーツ&上位/下位文化を、そのままジャマイカにもあてはめ論証の根拠にされているところに、意見の相違があるようで。
元々のカキコ「ジャマイカに於いてはレゲエは上位文化」という意味、ジャマイカという国とジャマイカ人固有のアイデンティティ運動という側面を不問にすれば、西欧文化圏での消費のされ方はボブ・マーリーがアジったラスタ思想も70年代にはやったオカルトのひとつに収斂される。だから、エリック・クラプトンが延々レゲエを取上てた時期、白人R&Bファンにうんざりされてもいた。「アメリカにパーラメント/ファンカデリックのひとたちが似たようなことをやっていた」米国とジャマイカで文化構成&人種階層背景をまったく同一視するならば、カンタン系さんの解釈がベストだと想う。たしかにミュージッックで世界はつながっているんだけど、そんなに直線的に入ってきている訳ではない。エスノシティ/オリエンタリズムディアスポラなんてことに拘るカルスタ&ポスコロの出番はないなぁ。ま、別になくてもいーんだけど(苦笑)。
ジャマイカは、1962年にイギリスから独立したが、英連邦にとどまる。50〜60年代ワールドワイドな民族自決-独立運動からみても「ラスタファリズム」はジャマイカ人の大きな精神的支柱となり、奴隷解放運動でラスタの始祖マーカス・ガーベイは62年の独立記念式典で正式に国民的英雄として承認されている。60年代初頭の独立の熱狂が冷めると、前回カキコした通り、キューバとの緊張関係にあった米国はジャマイカの政情に深く介入し国内は政情不安&貧困にあり、それへの国内外に渡ったアジテーションとしてのラスタ&レゲエが果した役割が70年代にあった。黒人伝統規範を重視しアフリカ回帰なラスタは反動保守に当り、現在ジャマイカ人&レゲエミュージシャン全員が帰依してる訳ではない(プロテスタントが国民の5割強)。ポップになったジミー・クリフは現在モスリムだし。だが、それをもってラスタとレゲエと政治の関係をきりはなすのは無理があるかと考える。
なによりも日本で聞くことのできる音源は、米英資本が「発掘/商品化」されたもので、ジャマイカ国内で流通してるというよりも、外貨かせぎに一役かっているというのが実情かと。国内消費よりも輸出品として「ワールド・ミュージック」ルートで資本化してるジャンルで、その成功から一躍世界の脚光をあび単なるカリブ海の島ではない差別化を図り観光立国化する現ジャマイカ政府に強力にフィードバックされているという面は無視できない。
てなことで、ジャマイカ独自のジャンルであったことと、ジャマイカアイデンティティの伝搬となったことと、政治・社会・経済資本と結びついたことを、レゲエはジャマイカ国内に於いてジャマイカ人文化の上位だと表現したんだす。

ジャマイカ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/jamaica/data.html