踊る無邪気

サロメ』の元は、福音書マルコ伝。洗礼者ヨハネヘロデ王の結婚を不義として咎めた為に捕まっている。王の誕生祝いの宴席でヘロディアの娘(サロメ)が踊り客が喜んだ。彼女はその褒美を王にねだる内容を母親に訊ねたら「洗礼者ヨハネの首を」と母親がいい、それを王に言う「今すぐに、洗礼者ヨハネの首を盆にのせていただきとうございます」。
その「盆にのった洗礼者ヨハネの首」と「踊る女」というシチュエーションは、いたく人の想像力をかき立てたとみえて、中世から沢山の絵画となっている。そしてその「舞う女」は、大抵「少女」なのである。母親づれでしかも母親の意志を伝達してるというハナシの内容に従えば、このばあいサロメは少女が順当であろう。
ただ、この母の意思→王に褒美をおねだりするにあたって、ナゼカ要求がエスカレートしてるのである。母親は、単に「首を所望」したのに、それが王につたえた時には「盆にのった首」ってことになってるのだから、伝言ゲームの不可思議な飛躍がある。「盆」どっから出たんだぁ?そこはマルコ伝にはなにも書かれてはいない。が、ま、しかし、そこが、少女の無垢と生首の対比、少女の無垢な残酷そのものが萌えポイントであろうか。