魔性の女

さて、そうなると、いよいよサロメは「無垢な少女」ぢゃハナシはどうにも落着かない。少女ぢゃあ性愛を予感させてもそれを織りなすことは無理だものね。その少女と母親が合体するとどうであろう。ここに最強の女のカタチが出来上がる。たとえ首でも欲する貪欲な性愛の無邪気。「魔性の女」というともっと年上の女のように感じるが、どうやらワイルドはサロメを14歳位に設定していた模様。…てことはロリータそのものなのである。ナコボフ『ロリータ』でも、萌えポイントとして、少女にそんな矛盾する2面性を意味付与しまくっている。
そして、それは破滅して初めて完結する。なにが完結するのか、といえば「求愛される首」=精神の神聖、そういうものの持ち主の自己愛。そう考えると、同性愛者だったワイルドが、ファム・ファタルを完成させた理由づけが出来るんではないだろうか。
もちろん現実の生身の女は、そんな都合良くエロスを発揮して都合良く破滅してってなんかくれない。