自由がもたらすひとつの不幸

結果行為主義というのは、最近評判悪い。しかし結果をクリアしていれば他は問われないということでもある。結果は問われないが、あれこれプロセス過程を逐一指図される閉塞的不自由よりも、楽ではある。ただ、結果クリアするか、責任とるかさえする主体であれば。責任をとって自由になるとはこういうことでもある。が、ところが、大抵の新人(若者)は好きにやれといって期待通りの結果を出せることは、まず、ありえない。無論、責任すらとれない。そうすると、結果&責任を遂行出来うる能力を身に付けるというプロセスを経なければならない。だから、新人には別のモノサシが必要となってくるが、短期効率を最重要視すれば、即戦力ダケでシゴトを廻せれば高い成果も出やすくなる。が、機械にだって小真目なローテーションの微調整が必要なように、ベストフィットな即戦力となる為には、環境に馴染みながら成長した者が良いに決まっている。
とはいえ、生涯に渡って親身の指導監督フォローをしてくれるようなグルは、まず殆どいないのがフツーである。とりあえず学校は出たものの、そこで突然ひとりになる。そのひとりは耐えられないので、同窓の者を見つけて見よう見まねでつるんですごしている内に、残酷にも時間と共に明らかになる自他理想像とのギャップに気が付いて、自己軸が崩れ出す。そして社会が環境がどうのこうのいうよりも前に我が身が壊れ系寸前なあやういひとは、大企業でもちらほら目にする。

彼らが幸せになれなかった理由は、あるプロセスを経てないからなんですよ。30代前半までの間に、「自分の人生の価値観や動機はどこにあるのか」というのをしっかり考えなかったんですよ。そうしたプロセスを経る前に35歳くらいになってしまった。彼らが20代の頃、転職というカルチャーは日本にはなくて、転職市場が成熟した頃には、転職市場からは賞味期限切れのレッテルを貼られていて。もし転職市場にいたとしても、本人はキャリアアップを意識して生きてこなかったから厳しいでしょうね。彼らは、自分で何をやるべきかを深くは考えなかったんですよね。それで気が付いたら、40歳くらいになっている。だからもう会社でメシを食うしかない。これはすごく不幸だと思うんですよね。

城繁幸
http://www.toyokeizai.net/online/tk/column/index.php?page=1&kiji_no=25

若い内はパワーはあるから、いろんな誘惑が自己の可能性を広げてくれるように思えて、自己を忘れて手に出来うる環境にのめりこんだりもする。そしてソコにいったママなひとが出てくるが、環境の方も固定ではなく変化してしまうことはあまり考慮されない。酷な言い方だが、これもある種の成果主義「今が良ければ」で、人生の価値や動機を先送り出来えた能力故のひとつの姿なのであろう。
新人ー熟練など職場歴に関係なく実はシゴトというのは、能力獲得ー遂行プロセスの繰り返しだったりする。誘惑をモノにしたら、自己ゼロ地点に戻って又新たに始めなければならない。それにどれだけ早く気が付いて、実行してく主体となりうるかどうかということが、職務実績が他にも通用するか否かの分かれ目だったりするのだろう。そゆことを選択実践してくライフスタイル上のレベルで、自己主体を自分でつかんで行く内的羅針盤のようなものを、いかに認識して参照しつつ軌道調整してくかということが、特に流動化する社会ではセイフティネットとして最重要となる。格差が身にきてしまうこととは、なによりもそうした自己インフラとの折り合いがついているか否かの差なのかもしれない。
「自分の人生の価値観や動機はどこにあるのか」、それは自己実現な「アタシさがし」でなく実現している自己検証である。これダケは自前で向かい合い折り合いをつけなければ、社会や世間がいかに親身の指導監督介護をしても治まらないし、その先も始まらない、がしかし。
そうはいっても、与えられる教育ではなく自己獲得しなければ意味がない自己検証に耐えうる自己主体を持つにはどーしたら良いのかというハナシになってしまうし、ヘタにそんな主体を獲得したら責任持たなければならないからヤダと「アタシさがし」周辺でグルグルくねくね癒されつつ生きて行くであろう沢山のひとびとを「不幸」とかたずけてしまうのではなく、社会や世間はどう生暖かく容認&まったり融解してくのかという〈個〉が曖昧ならではの価値/視座の転換も、又存分にあり得るということで、ひとつ。。。id:hizzz:20040512 id:hizzz:20040602#p6
独)労働政策研究・研修機構 多様な働き方をめぐる論点分析報告書
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2006/070.htm
大和総研 CSRと労働におけるダイバーシティ(多様性)
http://www.daiwa.jp/branding/sri/051004csr.pdf
産労総研 労働に関するCSRについての人事部門の取り組み状況
http://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/srip_061020.pdf