美しい日本さがしの旅
安倍の「美しい国、日本」というコンセプトは戦前の焼きなおしだということは、前にカキコした通り。>id:hizzz:20070126
「美しき日本(Beautiful Japan)」というポスターが第一義に観光ポスターであったことがポイントで、実は国民あげての美しい日本さがしの旅もとうにやられている。
古くは洞庭湖の「瀟湘八景(夜雨/晩鐘/落雁/晴嵐/帰帆/夕照/秋月/暮雪)」、室町「近江八景」、江戸「金沢八景」などの「八景」ものがある中、1927年(昭和2年)、大阪毎日新聞と東京日々新聞は鉄道省の後援で、昭和新時代を代表すべき日本の景観を選定すべく「日本新八景」という募集を行い、「燃える郷土愛」*1これぞカントリー・アイデンティティが高じてか、各地域で候補地をしぼり後援組織を結成して投票活動が行われた結果、当時の総人口約6000万人を越える9300万票にのぼる応募で、もりあがりまくり。日本八景のほかに、日本二十五勝・日本百景も選定された*2。これは後の国立公園の選定に繋がる。
その八景ブームは、観光旅行だけでなしに、メディアで形をかえて宣伝ー消費され波及した。絵はがき、写真集、絵画、更には、幸田露伴/田山花袋/北原白秋/高浜虚子/泉鏡花らの競作紀行『日本八景―八大家執筆』。婦人雑誌『主婦之友』の付録にまで鳥瞰図*3『日本八景名所図会』*4がつけられた。
このように、こういう風に対象を限定したほうが、意見出しやすいし纏めやすいし、後々伝搬しやすいとおもうのだが、戦略、おもいっきりまちがってないかな。最後は官僚の集約作文能力如何にかかってくるのか。。。>日本らしさ探し
参考
古川 彰, 大西 行雄『環境イメージ論―人間環境の重層的風景』
「郷土」研究会『郷土―表象と実践』