多様化する社会に対応する人権

さて、民主主義を基調とした国々で戦後一番重要視されるようになったのは、人権ではないであろうか。アムネスティの年次報告書『世界の人権2007(アムネスティ・レポート)』では、世界150ケ国についての人権状況を掲載。一口に人権といっても、多義に渡る。各国レポートに先立つ序文で事務総長アイリーン・カーンは、「恐怖からの自由」という視点からパレスチナ紛争からテロに至る各人権問題を解きだし、恐怖のない未来を「安全保障」ではない「持続可能性にもとづくアプローチ」として各国の適切な法による人権強化を、また国連安全保障理事会の一部の理事国*1による「より好み」策を廃して、信頼性の回復を求めている。
その中での日本国は、死刑制度の存続執行と代用監獄制度の廃止を、入出国管理法改訂による「テロリスト」とみなされた者に対する強制退去処分の簡易執行は、難民申請者の強制送還と共にノンルフールマン原則*2に反する恐れがあるとして序文にも取り上げられている。また「過去の女性に対する暴力への賠償」と題する項目では、「第二次世界大戦前および戦中の日本の性奴隷制の生存者たち」に対する完全な賠償は否定されたままであるとレポート。

■序文「テロリズムへの恐怖」
日本は2006年に法務大臣が「テロリストの可能性のある人物」と判断した人物を優先的に国外退去とする法律を導入した。人びとの運命はもはや彼らが行った行為ではなく、彼らがこれから行うかもしれない行為を予測するという全知の能力を持つ政府によって決定されるというのだ。

■序文「恐怖と女性の自由」
加害者が兵士であれ地域社会の指導者であれ、その暴力が当局によって公的に是認されるものであれ文化や習慣によって許容されるものであれ、国家は女性を保護する責任を逃れることはできないのである。

アムネスティレポート『世界の人権2007

しかし、、アルカイダの友人の友人が「全知の能力を持つ政府」の現法務大臣とは、これ、どーゆー落ちなんだか。。。

ストップ!女性への暴力
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1351
60年を経てなお待ちつづける:日本軍性奴隷制のサバイバーたちに正義を(「従軍慰安婦」問題)2005年
http://www.amnesty.or.jp/uploads/Japan_Sexual_Slavery_final.pdf

*1:アメリカを指しているであろう

*2:難民条約:難民を迫害のおそれのある国へ送還してはならない