外国人研修生及び技能実習生に首を挿げ替える人員コスト政策

id:hizzz:20070610でかいた通り、コムスン偽造で広く明らかになった介護制度の破綻は、介護士ばなれを引き起こした。夜勤等があって肉体的にハードワークなのに賃金upもないのなら、そりゃあちょっと出だしから考えちゃうのは当たり前だよな。介護職員の賃金水準は男性で一般労働者の約6割の月額22万7000円程度。

介護福祉士は、高齢者や障害者の介護を行う国家資格で、全国で約64万人いる。介護保険の導入に伴って各大学が介護福祉士の養成課程を開設し、国の指定養成施設の大学は全国で約150校にのぼる。調査は4年制・短期大学計80校を対象とし、うち51校が回答。51校の同課程入学者は2005年春の3273人をピークに3年連続で減少し、今春は05年より30%少ない2266人。42校で定員割れが生じ、25校で定員充足率が50%以下となった。
各大学は定員割れの理由について、「社会的地位が低い」「コムスン問題で業界イメージが悪化した」とし、奨学金を受けた学生が「介護職の賃金では返還できない」という理由で一般企業に就職した大学もあった。日本福祉大(愛知県)の担当者は「高校の進路指導の選択肢から介護福祉士が除かれつつある」と嘆く。

介護福祉士養成大、8割で定員割れ…低賃金などで敬遠 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080504-OYT1T00014.htm

大体その低賃金は生活扶養されてる主婦労働を当てにした上での卓上計算だったから、世帯主賃金としてはまったくもって不足していたのも明白、なのに介護基準料は引き下げられる矛盾。
崇高な福祉精神でこの世界に飛び込んでも、そうした分だけ燃え尽きて辞めていく人も多いという。でー、そのあてにされた肝心の主婦は昼間の空いている時間しか働かず、中高年には肉体労働は厳しくもあり、24時間介護が必要な深夜等に人を割けなくなってきた。で、厚労省は制度の抜本的見直しをほかして、先のフィリピン人が比国議会での承認手続き遅れで滞っている為、今度はインドネシア人の看護師&介護/介護福祉師投入でなんとかしようとする。

団体側「離職率20%改善が先」/厚労省「人手不足対策でない」
急激な高齢化で人手不足が懸念される看護や介護の分野に、インドネシア人が入ってくる見通しになった。同国との経済連携協定(EPA)が今国会で承認されるのが確実になったためだ。専門的・技術的分野以外で、日本が外国人労働者に本格的に門戸を開放するのは初めて。7月にも第1陣が来日するが、看護師、介護福祉士の団体は、国内の労働環境の整備が先決だと反対している。
厚労省によると、資格がありながら働いていない潜在看護師が約55万人、潜在介護福祉士が約20万人いる。厚労省はこうした人材の活用などで人手不足に対応することを考えており、外国人労働者に頼ることは想定していないという。国内の労働市場への悪影響を懸念し、受け入れは2年間で1000人(看護師400人、介護福祉士600人)と抑えている。

インドネシア人受け入れ 介護現場と政府ズレ
http://mainichi.jp/life/health/news/20080420ddm003040042000c.html

38.6万人もの入所待機者が列をなしている東京都特別養護老人ホームでも、介護員不足から定員を一時減らして運営を続ける事態となってしまっているという。
一方、インドネシア側では「稼ぎ10倍」と希望者続々なのだそうだ。前回「(登録型)日雇い派遣禁止」で限りなくバイト的給与な正社員か、専門子会社からの出向扱いの契約社員か、社会保険適用に達しない短期バイトが増えるだけだろうと書いたが、低賃金労働市場はそれらと外国人労働者のパイの奪い合いになるのであろう。
人手不足なのに下がる時給…派遣・請負募集時時給調査
http://koerarenaikabe.livedoor.biz/archives/51187580.html
さてさて、将来の少子高齢化を睨んで、自民党は外国人研修・技能実習制度という技能資格者短期労働滞在からいよいよ門戸を広げようとインフラを画策している。

自民党は外国人の定住を推し進めるための基本法制定の検討に入った。日本で一定期間働く外国人の受け入れや管理政策を担う「移民庁」を設置するほか、不当な低賃金労働などが問題となっている外国人研修・技能実習制度を抜本的に見直す。少子高齢化による人口減少の流れを踏まえ、海外からの人材確保体制を強化する。来年の次期通常国会への提出・成立を目指す。

自民党、「移民庁」設置検討…外国人定住・強化を目標に
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080505AT3S0201E04052008.html

外国人研修・技能実習制度 法務省入国管理局
http://www.immi-moj.go.jp/seisaku/kensyu.html
研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針 法務省
http://www.moj.go.jp/PRESS/071226-1.html
財団法人国際研修協力機構(JITCO)
http://www.jitco.or.jp/