貧困の再発見

05年のユニセフの調査で子供の貧困率(公的扶助基準と所得分布の中央値50%未満)は14.3%で、経済協力開発機構OECD加盟25カ国中10位。ひとり親世帯の子供の貧困率は57.3%で2位。>http://www.oecd.org/dataoecd/48/9/34483698.pdf 大阪府調査では生活保護世帯の7割が「低学歴」で保護の世代間継承が4割にのぼるという有様。ここで日本が特異な兆候を示しているのは、母子世帯の8割が働いているのである(ひとり親世帯の貧困率:日本57.9%、OECD平均19.9%)*1。にもかかわらず、OECD平均では、税控除・社会保障給付を含む「再分配所得」で格差調整されて総世帯所得は無論子供の貧困割合も大きく下がるのであるが、日本は逆に上昇してしまうという体たらく。>http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no197/siten.htm
と、いうことは、税金や社会支出が子供の為にも使われてないということを如実に示している。

最も貧困率が高いのは無配偶女性であるが、このグループでは15.54%から19.75%と、5人に一人の無配偶女性は貧困状況にある。無配偶者の貧困率の上昇は、このグループの市場所得が大幅に悪化したためで、税・社会保障制度はそれを若干食い止めているものの、追いついていいない状態である。無配偶男性と無配偶女性は、人口構成比も大幅に上昇しており、このグループの人々の貧困に対する政策が早急に望まれる。

阿部 彩「1980∼2000年代の日本の貧困率の推移と要因分析」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sssp/112taikai/F7-2Abe.pdf

※08/06/13追加
内閣府が55〜74歳の男女4000人を対象に今年1〜2月に実施した調査(回収率62.6%)によると、1人暮らし女性の51.0%が年収180万円未満で、1人暮らし男性の33.4%を大きく上回った。また、離婚して1人暮らしとなった女性の12.5%は年収60万円未満にとどまり、より厳しい状況にあることが分かった。一般的に、女性は子育てなどで男性より就業年数が短く、年金受給額も低い傾向にあることなどが背景にあるとみられている。

半数が年収180万円未満=中高年の1人暮らし女性−内閣府調査 時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2008061300856

(平成20年版・男女共同参画)白書によると、管理職で女性が占める割合は係長クラスで12・5%、課長相当で6・5%、部長相当で4・1%となっている。民間事業所を通じた給与調査によれば、年収300万円以下の割合は男性21・6%に対し、女性は66・6%と半数を超えた。
15歳以上の就業者を対象にした労働力調査では、非正規雇用の割合が女性は53・4%に上っており、男性(18・2%)に比べ、女性が不安定な雇用状況にあることが、そのまま賃金水準にはね返っているとみられる。全国の事業所を対象にした1時間あたりの賃金水準調査でも、男性の一般労働者を100とした場合、女性は一般労働者は68・1にとどまった。

雇用環境の格差くっきり 「男女共同参画白書産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080613/plc0806130934005-n1.htm

財務省は4日、2008年1〜3月期の法人企業統計調査の結果を発表。経常利益は13兆7,548億円で前年同期比17.5%のマイナス。人件費は44兆3,287億円で前年同期と比べて1.3%増加した。このうち従業員(パート・臨時社員含む)の給与は前年同期比11.1%減の30兆781億円。役員給与は0.5%増の4兆3,880億円だった。従業員数は前年同期と比べ1万1,244人増えているが役員の数は314人減少。

従業員給与、前年同期比11.1%減少 財務省法人企業統計調査
http://www.mof.go.jp/ssc/h20.1-3.pdf

てなことで、年収200万円に満たない貧困層の増大の中身は、全体所得悪化の中でも温存された男女格差の玉突きのハテに位置する無配偶女性=独身女性の所得悪化の増大に起因する。
貧困対策より先に税・社会保障制度保全が先走り、後期高齢者医療制度ではビンボー老人は規定範囲医療でガマンして死んでけだし、一人前になるまで手がかかりすぎる文句たらたらな怠慢な連中なんかほかして、ガッツある働き盛りな移民1000万人「直輸入」して税金稼いでもらいますわと、、、なんだかまったく違う方向へ政府はいこうとしている。

政府の経済財政諮問会議で、福田総理は社会保障費の伸びを「毎年2200億円づつ圧縮する」と定めた歳出削減の方針を堅持する考えを明らかにしました。
 経済財政諮問会議の後会見した大田経済財政担当大臣によりますと、福田総理は「社会保障も聖域ではない。これまでの制度の非効率を徹底して削減する」と述べ、社会保障費の伸びを毎年2200億円づつ圧縮するとした骨太の方針2006を堅持する考えを明らかにしました。

『首相、社会保障費削減を堅持する考え』 毎日放送
http://www.mbs.jp/news/jnn_3873353_zen.shtml

※08/06/13追加
福田康夫首相は12日夜、社会保障費の伸びを毎年2200億円ずつ抑制する政府方針について、09年度予算でも堅持する方針を明らかにした。政府は、雇用保険に投入している国庫負担(08年度1600億円)の大幅な削減を軸に、2200億円のノルマを達成する方向で調整する。

福田首相社会保障費抑制「堅持」』 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080613k0000m010141000c.html

*1:児童扶養手当の08年度減額措置では、需給資格者やその子供等の障害・疾病等により就業が困難な事情がないにもかかわらず、就業意欲がみられない者については、支給額の1/2に減額。親の就業状況が子供の権利を阻害するという本末転倒な措置