「神の国」発言で総ツッコミ、森政権

密室談合で小渕急死の後をついだ森喜郎首相は、、2000年5月15日神道政治連盟国会議員懇談会「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知していただく、そのために我々(=神政連関係議員)が頑張って来た」と発言。これで閣内支持率が急降下しだした。
16日マレーシア中華大会堂総会では事務長が、「森首相の『神の国』などの発言は(華人の虐殺などを行った)旧日本軍を間接的に擁護するもので、侮辱的だ」と批判、シンガポールでも地元紙ストレーツ・タイムズが「アジアの戦争被害者の記憶を汚す」と批判した。人民日報は「再び日本の世論と野党の厳しい批判を受けている」と伝えた。
森首相は具体的内容に触れず「私の発言でいろいろとご迷惑をおかけして申し訳ありません」と全国幹事長会議で陳謝。しかし中国国営新華社通信は「発言が『皇国史観』を鼓吹したとして世論の厳しい批判を受け、森内閣自民党は重大な政治危機に陥った」と解説、「釈明は国内世論の不満を鎮められていない」と論じた。唐家セン外相はテレビ朝日社長との会見で「こういうことが度重なっては良い結果になり得ない」と不快感を示した。国内各宗教団体は相次いて抗議声明を発表。高まる批難の中、26日首相は異例の釈明会見を行った。

森総理大臣記者会見 森喜郎 2000年5月26日
先般の神道政治連盟国会議員懇談会におきます私の発言につきまして、十分に意を尽くさない表現によりまして、多くの方々に誤解を与えたことを深く反省をいたしておりまして、国民の皆様方に心からおわびを申し上げる次第でございます。
厳しく御批判を頂きました「天皇を中心とする神の国」という表現は、議員懇談会の活動の経緯を紹介する趣旨で申し上げたものでありますが、誤解を招く表現であったことは、私自身大変反省をいたしております。私の真意は、天皇が神であるということではありません。そのことは、私自身の個人的信条とも全く異なっております。
http://www.kantei.go.jp/jp/morisouri/mori_speech/2000/0526kaiken.html

陳謝はしたものの、発言そのものの撤回はなかった。
5月23日オランダに謝罪と補償を求める抗議行動があるなか 明仁訪問。

ランダ女王陛下及び王配殿下主催晩餐会(アムステルダム王宮広間)における天皇陛下のご答辞 明仁 2000年5月23日
両国が,先の大戦において戦火を交えることとなったことは,誠に悲しむべきことでありました。この戦争によって,さまざまな形で多くの犠牲者が生じ,今なお戦争の傷を負い続けている人々のあることに,深い心の痛みを覚えます。二度とこのようなことが繰り返されないよう,皆で平和への努力を絶えず続けていかなければならないと思います。また,この機会に戦後より今に至る長い歳月の間に,両国の関係のため力を尽くしたさまざまな人々の努力に改めて思いを致します。とりわけ戦争による心の痛みを持ちつつ,両国の将来に心を寄せておられる貴国の人々のあることを私どもはこれからも決して忘れることはありません。
http://www.kunaicho.go.jp/gaikoku/gaikoku-h12-02.html#oranda

2000年10月14日来日した朱鎔基首相はTV番組座談会で筑紫哲也に、日本は全ての中国宛公式文書のなかで一度も中国に対し侵略戦争について謝罪していないと指摘した。>http://www.tbs.co.jp/zhu/jp/theme03_05.html これに対して外務省事務次官は、1995年の村山談話を政府の正式な立場を表したもので、当然中国をも大きく念頭に置いたものだあることと、98年江沢民国家主席来日時に小渕首相より心からのお詫びの気持ちを表明したとして、文書に拘ることを否定した。>http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/jikan/j_0010.html
2001年2月18日野呂田芳成衆院予算委員長は大東亜戦争植民地主義が終わり、日本のおかげで独立できたという国の首脳もたくさんいるが、それは別として、戦で負けてしまったのは、政策の誤りであって、日本の文化、歴史、伝統が悪いと反省してしまったのは本当に大きな誤りだ」との発言が問題となったが、19日この弁明に「アジアの国々で(日本のおかげで)独立できたということを言っている人もいると紹介しただけだ」と重ねて語った。
韓国外交通商省は「太平洋戦争を美化し、近隣諸国の苦痛を無視した、わい曲した発言を行ったことを非常に遺憾に思う」と批判した。また、自民党幹部である野呂田氏の発言は「国家間の友好協力関係だけでなく、日本のためにも全く望ましくない」と批判。中国外務省は「日本の一部の人々の歴史問題に対する無知とでたらめの度合いを示している」「侵略戦争はアジアの被害国に深刻な災難を与え、その罪悪は筆舌につくしがたい」としたうえで、「(発言は)日本国内の類似した政治傾向への警戒心をさらに高めさせる」と述べた。人民日報も発言を「侵略を美化する」ものと非難。委員長解任要求を巡って国会は紛糾したが、森政権自体が解散となった。自民党は6月総選挙に向けた党の公約に、政教分離の堅持を盛り込む方針を決めた。