社会的規範・非公式慣習ジェンダー差別への責務

たとえば、女性には性差別から解放される人権があるということを、法律と社会的仕組みによってその人権が保護されているかどうかという点から切り離してジェンダーの立場から議論することは可能である。ジェンダー差別は、単に個人がある特定の女性に対する完全な義務に違反しているという犯罪ではない。それは、あらゆる社会の規範や制度に根を張る不正である。この不正は、女性を差別している法律や、その他の社会的規範および非公式な慣習の中に表れている。
女性の人権は、女性に社会的、法的、制度的な改革を通して、男性だけに認められている参政権やその他数多くの慣習に終止符を打つことを要求する権利を与えている。この権利に対する義務は、特定の者に容易に割り当てることはできない。なぜならこうした不当な慣習の改革は、集団全体に課された責務であるからである。とはいえ、個々の人も当然ながら、この権利に関する不完全な義務を負っている。そして、この権利を明確に語ることは、規範的にきわめて重要な何かを示すことにある。

※この「ジェンダー差別」には、生物学的女性以外の様々なセクシュアルマイノリティも含まれる。