好景気の中の選別

米国の失業率は、4.7%と4年半ぶりの低水準(1月雇用統計:米労働省)。それと共に、日本の景気動向指標は、5ヶ月連続で上回ってるし、GNPも4期連続プラス成長。個人企業の業況判断は数値的にはマイナスだが、前期よりupし見通しも改善される予測。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di-summary.html
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#qe
http://www.stat.go.jp/data/kojinke/sokuhou/4hanki/index.htm
この景気上昇をみて、春闘はひさびさに?「ヤル気」を見せたりしてる( http://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/shuntou/2006/houshin/2006_kousei_houshin.pdf)のだが、たしかに賃金は据え置かれたままである。さて、その賃金低下原因を内閣府は、失業率といった外部要因ではなく、バブルの負の遺産=過剰債務のセイだとしている。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp061.pdf

特に雇用関係は、2007年度問題を控え、今年の大卒新卒の求人需要は、去年度以前の新卒の皆様が見ればジタンダ踏む程の、バブル期並の活況。高卒予定者の内定率も、去年よりぐっとup。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/01/h0113-2.html
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/02/06020712.htm

んがっ、時折ブログなどでも書かれているのを目にすると、大学&学生が感じている就職への課題(卒業後の無活動・活動停止→学卒無業者)は、依然として大きいようだ。大学進学率50%を越えた時代には、かっての「学卒者」高待遇を補完できうる分野以外を「開拓」していくより他に道はないのであるが、「質」とそれが保証してくれるであろうプライドを重視するあまりに、既存権威な狭いパイ=既得権益にのみ集中してしまうと、いったところであろうか。
http://www.meti.go.jp/press/20060131010/20060131010.html

ハカセなラオチューが大量発生

ニートつーと、若年低学歴失業者(中卒/高校中退)というよりも、日本では学卒無業者(大卒/院卒)のことを指すことが多いんだけど、その学卒無業問題は、お隣の中国でも大変らしい。そゆ人々のことは、「傍老族」という。安直にかたわらでフケてく人か?とおもったが、「親によりかかる者達」パラサイトの意らしい(http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/d/20050222)。しかし、「ニート」なんてうすっぺらな言葉より、はるかにイメージしやすいっすなあ。「ニート」という言葉になんでもかんでもぶっこんでワケワカメになってるよりも、「傍老族」、使いません?>エライしと

そんな中国の去年の大卒者は約340万人いたが、内約120万人が卒業後就職できなかったそーな。そいでもって今年は400万人!!と予測。大学定員そのものも5年前から増えた割に、供給先がおっつかないとゆー、需要と供給のアンバランス。さすがに中国、ケタが違うなぁ。。しかし、そもそも、なんで大学がそんなに膨らんだかといえば、一人っ子政策の元でのエリート志向の広がりと、高卒者の失業対策としての大学進学が原因だとか。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2006_2/china_01.htm

んで、ご多分にもれず大卒の失業対策としての大学院進学も膨れてると、いう。儒教からの伝統を引き継ぐ学問立身出世つーのが成り立たん。毎年100万人単位の無業者が溜まる予定、「失業」ない筈の共産党政権下で。いや、そもそも大卒以外でも雇用のミスマッチは深刻な問題であり、1,400万人が失業するという試算だとか。。。
http://www.jil.go.jp/foreign/nna/backnumber/0217china.htm

その感じでいくと、この数字は、うう〜ん、これは又、第二の天安門か?とか妄想する向きもいるんだろうな。だからこそ、ますます経済政策を重視せざるを得ないだろうということもいえる訳で、そうするとカモがネギしょってきてくれる隣近所と、建前はともかく、実質上いつまでもモメてる訳にはいかなくなる。

中国は広いからいろんな人がいるんだろうけど、普段接する中国人の方々は、たとえ会社に属していても一蓮托生に絶対にならず、もうけの仕組み=カタチを把握すればずぐ自分で起業しようとする。だから、その状態に利なければ、いつまでもじっとしていない。ま、しかし、異国に出稼ぎにいくような人は、元々フレキシビリティかつバイタリティあふれた人なんだろうから、そゆ人をもって国のメンタリティを計ることはしちゃいけないんだけど。

そいえば、フランスで今月、政府の新卒者就労対策に怒って学生22万人(主催者発表40万人)がデモ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/fra/news/20060209k0000m030119000c.html

而立

そゆ様子をみるにつけ「イマドキの若者は」などど説教始める世代で常識な論語では、「子曰く、吾15にして学に志し、30にして立つ」。ってことで自立すんのは、30歳なんだよな。そんでもって40でやっと「不惑」。んで、50で天命を知る。ってことで、仕えるに値する者がいないと、一生さすらってた孔子は、結構イマドキかもねー。ま、孔子みたいなカタイのでなくとも、無限大自由をもとめて人智を離れる仙人達(列仙伝/神仙伝)とかの例もたんとある。ヲヤジは煩く抑圧するパワハラだとかいう前に、大卒者たる「教養人」なら、即座にそのくらいの返し<<「論語読みの論語知らず」という伝統芸>>をしてやれよ(笑)。
まあ、青くさいのも高校生ぐらいならともかく、身のフリ方は「(学校が斡旋する所への)就職」ダケしか考慮しないで、それがうまくいかないと、「学校」のせいにしたりコジレたりするというのも、ちょっとあまりにも「学校社会」幻想に特化すぎで、社会性を喪失してるか、と。*1
なにかにこだわった末、大学院までいくとかいうのではなく、こんなに流れが早い不確実な時代だからこそ、そもそも大学/大学院という社会的に確定された権威な立ち位置(居場所)を必要とする人にとっては、巌のような場所に安定を求めがちな「堅実志向」が逆に災いしてるのか、も。*2

*1:これについて、「学校の就職指導&スキルトレーニングがヘタレだからもっと強化を」という向きは多いが、そんな教授ーお勉強君姿勢でこと足りるとする考えが、どーかと。少なくとも、そんな意識(教えてくれないから出来ないのは当然だから、やらない)の者を、高待遇までして積極的に使うメリットがあると思わないのは自然であろう。それは、世の中が資本主義であろーが他の主義であろーが、普遍的事実なのではないだろうか。http://d.hatena.ne.jp/hizzz/20040516#p1

*2:中卒/高校中退者と、大卒院卒者とでは、今日明日の生活がかかってる者とワンランク上をめざした自己充足の為のカタガキさがしとでは、ニーズもウオンツも違うのに、「35歳以下の若年失業者問題」と一括してしまう「ニート」というくくりは、失業者とカウントされる側にとって害が大きい。