オレ様と不思議ちゃん

しかし、ソコは不思議ちゃんにとっては決して安楽地ではない。権利を声高に主張して責任放棄するという、なにしろ近代と封建のイイトコ取りしたオレ様エリアなんである。かといって不思議ちゃんが〈女〉をヤメ自分を出せば、ただちにそれは他者なんだから排除にかかる。不思議もずーっと続ければ不思議でもナンでもなくなるし。もうあきた。次の不思議がみたいなって、欲望はどん欲、なにせ下半身は別人格な都合のいいオレ様なんだから無責任きわまりない。そんな欲望に答え続けるのはナミ大抵な芸ではつとまらないだろうよ。
上昇はオレ様にとってもテーマだが、2人共それが出来ない。何故か、それは最初に自分が「特別なアタシ」とやってしまったからだ。もうすでに素のママで特別なんだから、今更ナニを身につけるというのだ。第一「上昇」するということは、今の自分は「特別」でナイってことになる。(ホントはそーなんだけどね。そんなコトは死ぬほど認めたくナイ)だとしたら一番簡単な方法論としては、不幸。堕落。いやしかし、「一番まともなアタシ」が不幸である訳がない。「特別なアタシ」が堕落するには訳がいる。かくして、不思議ちゃんの方でコワレてくか、オレ様がコワすかして変化つけないと「特別」という差異関係はモタない。
オレ様と不思議ちゃんは、「アタシ」という近代に気が付いたものの、その「アタシ」を使って思想を具現化するプロセスを省いて「アタシ」状態であり続けることを自己目的化するというアタマでっかちな指向や自己承認第一なトコは同類項で「他者」ってことが自己戦略上解らない人達で、フンズマリ=自家撞着を避ける為にちょこっとダケ目先の変わったヘンをお互いの自己愛の退路として常に必要とする。それゆえその関係は幸福な共依存はなく、男女関係ということになるとソコにジェンダーという障壁が加味され自己愛争奪パワーゲームになりやすく、一方が不利に追い込まれるのではないだろうか。なにしろ、不思議な「特別なアタシ」になるってことは〈男〉を使って「〈男〉の都合のいい〈女〉」=「特別な〈男〉」になるって戦略なんだから。相手と同じ立場に立つことによって相手のイニシチアブを握るっての。んなの「特別な〈男〉」でありたいオレ様がその真相に気づけば絶対「許す」訳ナイ。なによりも「「アタシ」が一番まともで他者は変」なんだから、武装解除させてからっぽにしようとする。そうしないと安心して欲望に耽れないからねぇ。自分が気ままお子茶魔してんの薄々でも感づいてるから、なにしろ「他者」が大人が怖い。