女の発見

日本での文化資本の座を漢籍にとって変わろうと西洋文明がする時に、男女という制度を輸入し、女という思想を発見し、天皇と皇后というカタチであまねく臣民に知らしめた。…ということはさんざんカキコしたけど、江戸時代にだって男女はいたんぢゃあないかといわれれば、それはそーだ。だが、浮世絵(含む春画)で描かれているとおり、それは唯の「記号」にすぎない。人物画や仏像といった「人型」をしたものは、たんとあっても、それは、「人」を再現したものでない。美人画や役者絵と呼ばれる一連の浮世絵は、山水画が風景を描いているのではないように、そこに人が描かれてあっても、花鳥風月の「化身」であって人間ではないのである。それが大和絵の王道であった。
さて、先の高橋が、女を描いた。この絵の題名は『美人(花魁)』である。

これのドコが美人なんだと、怒んないよーに(笑)。なにしろ始めて空蝉ぢゃあない、生身の女性が記録された証拠物件なんだから。そして、なによりも、女(=花魁)は鮭や豆腐並であった生身の生物という事実をあますところなく、描きだしている傑作なのだ。