神国ファンタジーの誕生

それが徳川300年間の内に消化され変化していく。300年鎖国して入ってこないんだから、外来の元ネタはさすがにつきる。そしたら、なんかを足さないと「研究」としては成立たない。そんな中で、文学/日本語を研究してるハズの国学で、「神代文字」までこさえた平田篤胤の頃から「神国日本」というファンタジーがはぐくまれる。そしてそれが政治思想化する。したから「神国日本」は明治ではなく、江戸でこさえられたもの、江戸文化なのである。
「天下」ではなく「国家」を主題とした水戸学は、尊皇攘夷皇国史観としてのイメージの方が強烈であるが、その生い立ちを考えたら、そんな単純なモンではない。天皇中心ヒエラルキーを構造として強固に立てつつ、結局は幕府政権の正当性ひいては武士の正当性を権威序列づけようとする思想となる。だから、むしろ「士族(=日本の知的階級)の誇り」としてこの思想は明治以降も培われるのである。