過去はいつでも現在によって創作される

これまでレイシズム分析者があまりに長い間中心的に行ってきた、「教養」や「イデオロギー」によるアプローチにこの現象を還元してしまうことに警鐘をならすミシェル・ヴィヴィオルカは、現在はその差異が解消するどころかレイシズムもまた多様化しグローバル化しているとして以下のように問う。

偏見の生まれる社会的文脈を考慮せずに偏見を分析することも、あるいはそこに一定の合理性を見出して支配関係のなかに偏見を位置づけることもある程度可能なのは、レイシズム現象が意味を表すと同時に、意味の喪失も表しているからではないだろうか。

ミシェル・ヴィヴィオルカ
レイシズムの変貌―グローバル化がまねいた社会の人種化、文化の断片化