トルコのスカーフ着用事件

ムスリムが多いトルコでは、「ライシテ」をモデルとした「ライクリッキ」というフランスよりも厳しい政教分離政策を取って世俗主義となっており、宗教を国家管理下に置いて制限している。
1925年帽子法で、フェズが禁止となった。しかし1968年、女子大学生がスカーフ着用して講義聴講を拒否された事件が起こる。1982年高等教育審議会がスカーフ着用禁止通達して、抗議行動が起こる。1988年「信仰によるスカーフ着用を自由とする」法案承認されたが、翌1989年、憲法裁判所で「スカーフ着用はイスラーム主義の政治的イデオロギーを表象してるため憲法世俗主義違反。憲法上信教の自由は保障されてるが、特定宗教シンボル着用は、周囲の人々に対する抑圧につながる可能性があり、法の下の平等に反する。スカーフには男性から着用を強制される場合があることから、男女平等に抵触する。」と違憲判決。この原告が1998年欧州人権裁判所に提訴した。そして2005年、「国が服装に関して一定の法的規定を定めることは、ただちに人権侵害に当たらない。トルコでは過去の経過からスカーフが政治シンボルになりやすいため、非着用者の権利と自由を守り社会秩所の平穏を保つために、スカーフ禁止には合理性が認められる。ヨーロッパ人権条約では信仰や表現の自由は保障されているが、スカーフの禁止はトルコの完全な民主主義実現のためには必要である」と人権条約違反にあたらないと敗訴した。