2009-03-24から1日間の記事一覧

トルコのEU加盟問題

ムスリムが国民の大半を占めるトルコは、1923年の建国以来、近代化、文明化の見本としてのヨーロッパに憧れ、その一員となることを目指してきた。さまざまな西欧化改革を断行し、西欧型の国家を作り、紆余曲折を経ながら40年以上EUへの正式加盟を目指しつづ…

ホロコーストと比較される、ムハマンド風刺画事件

南アフリカ聖公会大主教のデズモンド・ツツは、風刺画に対する憤怒を「その動機に対してではなく侮辱に対する反応」「起きたこととその後の余波がより深刻な病気な症状として見られてきた。もし関係が違ったものであったなら、風刺画は掲載されたなかっただ…

ヨーロッパで沸き起こるイスラーム・バッシング

ミッシェル・モールが事情収集した時に採取した、事件を纏める感想としては「それは結局コップの水を溢れさせる最後の一滴だった」という。911以降、ヨーロッパにひたひたと広まっていたムスリム・フォビアに、火をつけたのである。 トルコ&モロッコ出身者…

ムハマンド風刺画事件

ヨーロッパを駆け巡ったムスリムがらみの事件の二つ目。 事の発端は、デンマークで勃発した。子供向け絵本『クルアーンとムハマンドの生涯』用の挿絵を依頼したマンガ家達が、預言者ムハマンド*1を描く宗教禁止行為に抵触することを恐れて辞退した。だがイス…

スカーフ着用で表象されるアイデンティティ問題

結局、「ムスリムのスカーフ」が問題なのではなく、フランスのドイツのトルコの「ヨーロッパのスカーフ」が問題となっている訳である。 スカーフを着用する娘の多くは移民またはその子供であり、ヨーロッパ社会の自由を謳歌しながらも(差別を含む)様々な要…

ジェンダーイシューとしてのスカーフ着用問題

今度は個人的見地から見てみると問題は、当人/ムスリム/社会の3つの段階にある。個人的には、端的にいって、ムスリム女性に対してスカーフを取れとは、セクシュアル・ハラスメントに値する。当人が文化的に「慎み」の意味で覆っているものを公衆の面前で取…

トルコのスカーフ着用事件

ムスリムが多いトルコでは、「ライシテ」をモデルとした「ライクリッキ」というフランスよりも厳しい政教分離政策を取って世俗主義となっており、宗教を国家管理下に置いて制限している。 1925年帽子法で、フェズが禁止となった。しかし1968年、女子大学生が…

ドイツのスカーフ着用事件

植民地を殆どもたなかったドイツには、戦後個別雇用協定で移住してきたトルコ系労働者などの300万人というフランスに次ぐムスリムがいる*1。フランスの厳格な政教分離とは違って、ドイツは国家と教会を分離する明確な規定は無く、教育行政に関しては、州(ラ…

フランスのスカーフ着用事件

フランスには、ヨーロッパ各国では一番多い約500万人のムスリムがいると推定されている。マグリブや西アフリカそして東南アジアといった植民地から移民してきた人々である。 事の起こりは1989年。公立中学で3人のムスリム女生徒がスカーフ着用して登校した…

ヨーロッパ文明の起源

ギリシャ神話に、フェニキアの女王エウロベというのが登場する。エロウベ=ヨーロッパの語源である。彼女はレバノンあたりに住んでいた。それをゼウスが一目ぼれして、牛に化けて、背中に載せて海を越える。これを「エロウベの誘惑」という。こうしてギリシ…

再構築を迫られるリベラル・デモクラシー

さらに前回id:hizzz:20090309の続き。