プレカリアートなデモで逮捕

サウンドデモなぜ摘発  東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060522/mng_____tokuho__000.shtml
まず最初に、「プレカリアート」な〜んぢゃそれ?なんであるが、「プロレタリアアート」でお馴染みのマルクス主義、労働者問題(資本による搾取)の現代適用(反グローバリゼーション運動 )として、臨時雇用や派遣やバイト(フリーター)等の非正規雇用、失業者(ニート)、ひきこもり等、自由市場(能力主義)の中で労働疎外に追い込まれ生活に不安定(不利)な状態を強いられる状態を指す人権概念*1
でー、渋谷でいつものように届け出だして100名程度でデモってたら、トラック荷台上のDJ1名が道交法違反ってことで逮捕&機材押収(他2名は公務執行妨害)。なおかつDJ宅が家宅捜索と、これまた珍妙な展開をみせた一件。デモ当事者&シンパでは「デモのアピール力を恐れたゆえの道交法にかこつけた弾圧」 という見解の模様。ケーサツ、ぬぁ〜に暇なことやってんだか。フランスで延々わあわあやってたCPE「初回雇用契約」導入問題暴動に触発されたのは、なによりケーサツ(公安)だったってことだろう。
しかし東京新聞、なぜ今頃報道という疑問が。他にもメディアでこの事件を報道したのは西日本新聞週刊金曜日であるが、やはり最近のこと。ホカしてたワタクシぢゃああるまいし、この情報化時代に、ネットでは早くからサイトがたちあがってたのに比べて4月30日の事件をこれ程タメこんでたのは何故だ、わからん。成立しそうな共謀罪成立阻止運動に結び付ける為?そこにどゆ「政治」がうごめいているのやら。。。
・当該デモの呼びかけ
http://www.geocities.jp/precari5/main.html
・資料:メーデー救援会
http://mayday2006.jugem.jp/?cid=9
・当該デモの様子 レイバーネット
http://www.labornetjp.org/Video/ram?file=2006/20060430prec
CPE「初回雇用契約」の破綻が意味するもの
http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2006_5/france_01.htm


※追補:道交法改正
いままでOKだったのが何故「道交法違反」という理由で摘発されたかという点だが、暴走族対策等を加味して罰則強化された一部改正道路交通法が04年に公布され、2年以内に施行される部分などが関係していると思われる。無論、事前に届けて許可されてるデモという点で、今回の摘発(逮捕)は無理があるのだが。。。
この改正部分を根拠として、自転車の二人乗りで高校生が「赤切符」切られていたりする。リベンジ行動を画策する向きは、要チェキかも。
・自転車王国で「赤切符」急増 大阪府警、今年はや12件
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200605020018.html
・改正道交法Q&A
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku20/KaiseiQ_A.htm

*1:英precariate、伊precariato とは、「不安定な」(英precarious、伊precario)という形容詞に由来する語句

方法論の硬直

わからんといえば、当日の「自由と生存のメーデー 06 ---プレカリアートの企みのために 」の集会・討論と言うの、肝心の内容公開されてない。労働疎外がサウンドデモでナニを訴えたいのか、とーとつすぎて門外漢はさっぱりわからんちん。表現の自由は分かるけど、その表現がナンでサウンドデモでなければならないのか、表現の多様性の中でどーしてサウンドデモに固守するのか、その間を埋める言葉がなかったら、そりゃ門外漢にはサンウドデモ=煩い/じゃまとなってカミ合わない。
デモ決行前からいくつかの箇所でデモを呼びかける書込みが積極的になされたりしたのだが、賛同意見を自分の言葉に直して書込みするというよりも、「統一声明」的な識者コピペ(プロパガンダ)を繰り返す方が多いように見受けられる。抗議意見でも同様。マルチポストはネットでは歓迎されない。無論「ブサヨプロ市民」ということで粘着嫌悪なウンコを投げかける者も多数いるが、それらを「ネット右翼」としてひとまとめにして「統一声明」の中に籠ってしまうのはどうか、頭カタすぎ。原理硬直して、多様性に欠ける。こうした労働疎外と反戦を結び付ける反戦運動という文学的な大文字観念ばかりが先に来て、日常自己の労働疎外を解消する具体的テクニカルスキルが情報としてまったく提示されてない主催「労組運動」サイトやシンパの閉じた姿勢(興味ある/賛同するなら、まず参加/入会ありき)は、逆に反戦思想運動に利用される我等フリーター&ニートという分断をネット上で生み出したということはないであろうか。
反感ウンコを利用して、どんどこいろんな表現方法を考えてプレゼンしてコミュニケートしていくとことはしないのだろうか。どこか余所の世界の識者の意見をコピペしまくることではなく、トライ&エラー、そゆ地道な実践を重ねていくことからしか、地に足のついた有効な〈ことば〉は出ないし鍛えられないだろう。のに、「ネットは屑の巣窟」とか「スパイ疑惑(公安等「敵」に情報はわたさない)」とかいって閉じてしまって、異質意見がクロスする場を喪失して表現の場を固定しているのは、運動としていかがなものか。固定してるから補足もされやすい。補足されやすければ、囲い込みもまた容易であるね。で、それは同質の中で先鋭化するかもしれないが、それはジャーゴンすぎて異質への手がかりを排除することになるので、広がりをもたない。…Web2.0とかいってる時代に情報疎外してるのか、されてるのか、はたしてそれはどちらであろうか。
無論デモや集会はやりたい人がやれば良いし、その自由を担保する(「敵」や反対意見を表現する自由を尊重する)のが民主主義の大原則。が、かってのイラク反戦時4万人の盛り上がりをもう一度、という気持ち(&あせり)は分かるが、実践問題として4万人と100人程度でデモンストレーション(闘争方法)が同じというのは、ちょっと戦術としていかがなものかとおもう。ケーサツとガチンコしたい趣味者はともかく、自分で自分の首をシメているかのような戦闘は誰もシアワセにならないしなー。。。集団硬直してしまうより柔軟に拡散するゲリラ戦法のほうが、いまや有効でないかい?

ホワイトカラーエグゼンプション

ところで正社員だって、安穏としてられない。厚労省労働政策審議会に於いて、労基法改正が話し合われ、その中で労働時間の撤廃「ホワイトカラーエグゼンプション制度」 が議題となった。これはどういうことかというと、従来管理職に適用されていた時間外労働無賃金=裁量労働制を、ふつーの事務職リーマンにも年収でくぎって適用しようというということである。まー、残業代めあてとか「場」のお付き合いでダラダラ仕事してるフリも多いという事実は多々あるが、とわいえ、そこにツメてること自体が仕事という立場もあるから事はビミョー。
ま、多発してるサービス残業未払い問題を、法の厳格適応したい厚労省と巨額の賃金出費をなんとかしたい企業とで、時間規制除外ということで合法にして問題ナイということにしようということがホンネであろう。経団連ではそのライン、年収400万円としたいらしい。
・諸外国のホワイトカラー労働者に係る労働時間規制の適用除外
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0520-7b.html
・第54回労働政策審議会労働条件分科会 会議次第及び資料項目
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/04/s0411-2.html
ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/042.html
・「会社法」の概要
http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan33.html

労働審判制度

労働争議の解決方法は、組合作って団体交渉というのが伝統的手段ではあるが、1から組織づくりをするのは、てまひまスキルを考えるとかなり高度。ので、非正規雇用でも加入できる組合が連合を始めとして幾つかつくられている。しかし、小額を取り戻す為に組合費払うとかなると、これもまたいろいろハードルがある。無論、個人で裁判を起こすって手もあるが、これまた時間や費用かかりすぎ。ま、そこでADR(Alternative Disqute Resolution)裁判外紛争手続きというのが中間制度として考え出された。労働基準監督署や厚生省「個別労働紛争解決制度」では、こうした個別紛争を1ケ月程度のスピード解決をめざして専門家に依る相談と紛争先への助言指導&あっせんを無料でおこなっている。さらに、当事者が合意によって紛争解決機関を選定し、その仲裁機関が審査して判断を下すと、両当事者はそれに拘束されるという「仲裁法」が制定された。その上で、「労働審判制度」が裁判所でスタートした。ただ仲裁法については反対意見も多い為、消費者契約や個別労働紛争では仲裁合意を解除できるとしたり、無効とする付則が設けられている。
労働審判の申し立て93件/1カ月間の最高裁まとめ
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/gyousei/20060510.htm
労働審判制度について
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/1911.html
http://www.pref.oita.jp/14530/info/roudousinpan2.html
厚労省「個別労働紛争解決制度」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/
・仲裁法
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/hourei/tyusai.html