2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

変質したシオニズムとアメリカ

シオニズムの日本のイメージは、ユダヤ教という宗教を結びついた保守・右派的印象で把握されてることが多いのだが、実現しているキブツ(集団農業生産)などの生産システムに見られるように、根本的には社会思想から来歴しているものである。 二国家共存案・…

情報の二者択一化と内輪に丸められることでの、問題の矮小化現象

社会がより多元化しアイデンティティの複合状態が一定の正当性を持って受け入れられ始めた結果、イスラエル側・パレスチナ側双方のエスニック・グループによる政治活動、いわゆるエスノ・ポリティクスが盛んになった。ただそれは、伝達される上でいろいろな…

重層的アラブ社会に持ち込まれた国民国家

一般的には「ユダヤ人対アラブ人」という対立図式でイスラエル/パレスチナ「紛争」が表象されるが、ユダヤ人とアラブ人は本来的に別個の実体としてぱっきり別れて対立してるのではなく、そこが元々アラブの土地でもあって、お互い共存して生きてきている限り…

ヨーロッパの鏡像たるイスラエル

イスラエル=特殊としてのユダヤ教と、ヨーロッパ=普遍としてのカント主義の接点は、どこに見出されるのか。「ユダヤ教と、ドイツ哲学の本質としての観念論の歴史的頂点との親縁性、カントのいう契機との[普遍的法則の自律性、自由と義務といった]その基本…

ヨーロッパとアラブ、差異のイデオロギー

米国籍パレスチナ人キリスト教徒であり、イスラエル/パレスチナ二国家分割案の創始者の一人として10年以上パレスチナ国民評議会(PNC)の議員としてパレスチナ解放運動を担っていたエドワード・サイードは、イスラエル国家が行ったユダヤ人の意味づけ=ユダ…

ホロコーストの記憶とディアスボラ・アイデンティティ

前回書いたとおり、ドイツは加害者の「過ぎ去らない過去」を負から正のアイデンティティに変えて体制化していったように、イスラエルも又、ホロコースト被害者たる過去価値を変容させて受け止めようとした。 当初シオニズム主流派のイデオロギーは、ヨーロッ…

普遍と特殊のアポリア

「ヨーロッパ」の対置語は「オリエント」なんだけど、歴史的にはオスマン帝国の影響を受けて、非オスマン帝国な自己を「ヨーロッパ」と規定してその構図をひっくり返そうとした始まりがヨーロッパ帝国文化ってハナシで、そゆ裏返しみたいなことが延々と。。…

寛容・歓待・コスモポリタニズム

デリダ&ハーバマス共同声明発表前、911を強く意識して編纂された『テロルの時代と哲学の使命』ジョヴァンナ・ボッラドリは、ヨーロッパ知識人のテロリズムへの作業について2人に個別インタビューをしながらその政治姿勢について考察してる。 米政府の「テロ…

負を正とした国家アイデンテイティ

非キリスト教徒を含めて難民申請受理されなかった避難・強制移住者達の援助・警察からの保護活動に深く関わっていたドイツ福音教会は、1965年『Denkschrift 福音主義の覚書』を発表する。本来直轄地域民の為の1宗派施設であった教会は、肝心の教区民が追放…

国民国家と領土

それまで為政者たちの権力欲に基づいた軍事・政略上の力関係で決まっていた領土=国であったが、19世紀以降の「ネーション」の名を負う国民国家たる領有範囲とは、国民=民族が本来持つべき領土というナショナリズム論理が台頭してくる。それは、自己領土を…

人文理性から科学論理性へ

18世紀博物学の秩序整理となった進化論は、社会哲学者が歴史家の「直観」の裏付けとして使われ始め、科学に対する社会の投影方式は、資本主義社会の階級利害や植民地支配といったものの正当化と批判に持ち込まれる。 進化論は18世紀の博物学者が精錬してきた…

人文理性の戦い

そうした教皇vs国家の人文理性争い=宗教改革で国家が勝利を収めたところで、フランスの啓蒙文化が華開く。しかしなんだかんだいってっても国家の対抗馬=ネガとしての人民でしかなかった啓蒙支配思想に対して、その次はブルジョワvs人民の人文理性争い=革…

神的支配から人的支配へ

『ヨーロッパとは何か』クシシトフ・ボミアンに依ると、12〜16世紀にかけてのヨーロッパでは3つの文化が存在してた。ラテン語の聖職者スコラ文化、各地の俗語で朗読・口承されたネイション形成途中の戦士・騎士文化、北イタリア・フランドル・ラインラント…

国家の肖像

国家・国民・民族とかは、近代がこさえた『想像の共同体』ベネディクト・アンダーソンであること定説にはなってはいるがしかし、そもそもそゆ概念、空想だろーが仮装だろーが実装だろーがここ日本ではいまひとつ馴染みがないお仕着せなもんでしかない。「ナ…